「自然公園法の一部を改正する法律案」が2021年3月2日に閣議決定された。同法律案は今国会に提出される予定だ。

法律案の概要(出所:環境省)
法律案の概要(出所:環境省)
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 今回の改正では、国・都道府県が保護管理している国立公園・国定公園において、地方自治体や関係事業者などによる地域の主体的な取り組みを促す仕組みを新たに設ける。保護だけでなく利用面の施策を強化することで、保護と利用の好循環を実現するためだ。自然を保護しながら活用することで、地域の資源としての価値を向上させたい考えだ。

 背景には、日本を代表する優れた自然の風景地である国立公園・国定公園が、観光地などとして地域にとって重要な資源である一方で、地域活性化に資する滞在型の自然観光を推進するには、魅力的な自然体験アクティビティの提供や旅館街などの上質な街並みづくりと認知度向上が必要であるが、それが十分にできていない状況がある。

 これらを踏まえた主な改正内容は、(1)地域主体の自然体験アクティビティ促進の法定化・手続の簡素化、(2)地域主体の利用拠点整備の法定化・手続の簡素化、(3)国立公園・国定公園の保全管理の充実、の3点だ。

 このうち(1)と(2)は、地域の協議会を設けて予め計画を作成・認定することで、許認可手続を簡素化し、自然体験アクティビティの提供と公園利用の拠点となる地域の魅力的な街並みづくりを促進するものだ。

 具体的には、(1)は、公園ごとに定める公園計画において、従来の利用施設のハード整備に加え、新たに自然体験アクティビティの促進を位置づける。その上で、市町村やガイド事業者などで構成する協議会を設け、自然体験活動促進計画を作成し、環境大臣(国定公園の場合は都道府県知事)の認定を受けることで、計画に記載された事業の実施に必要な許可を不要とする。

 同計画は、望ましい自然体験アクティビティの提供・開発促進、利用者の受入れ体制整備、上質な自然体験の場の確保、適正利用のためのルールの策定などの内容を想定しており、計画に基づいて、自然を満喫し、長期滞在につながる国立公園・国定公園の楽しみ方を提供する。

 (2)は、市町村や旅館事業者などで構成する協議会を設け、利用拠点整備改善計画を作成し、環境大臣(国定公園の場合は都道府県知事)の認定を受けることで、計画に記載された事業の実施に必要な許認可を不要とする。

 同計画は、集団施設地区など利用拠点の面的な再生・上質化のための廃屋の撤去やその場所への新たな投資、利用者目線の機能充実、景観デザインの統一、電線の地中化などの内容を想定。計画に基づいて自然と調和した街並みづくりを促進し、魅力的な滞在環境を整備する。(1)と(2)により、国立公園・国定公園の魅了向上と地域活性化の実現を狙う。

 (3)は、国立公園・国定公園の保護と適正利用のために野生動物への餌付け規制、違法伐採などの禁止行為違反への罰則引上げを行うほか、国内外へのプロモーションの促進、公園管理団体の業務の見直しなどを行うという内容だ。

この記事のURL https://project.nikkeibp.co.jp/atclppp/PPP/news/031201912/