東京都は、上野動物園を走っていた日本最初のモノレールに代わる乗り物の整備・運営について、民間からアイデアを募集する。乗り物と一体で整備・運営する収益施設の提案も募る。2023年度中に事業者を公募して、上野動物園で初めて公園設置管理制度(Park-PFI)を採用する見通しだ。

運行休止前のモノレール。建設中のジャイアントパンダ舎上空を通過しているところ。2019年10月撮影(写真:中川 美帆)
運行休止前のモノレール。建設中のジャイアントパンダ舎上空を通過しているところ。2019年10月撮影(写真:中川 美帆)
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 従来のモノレールは懸垂式で、1957年に開業。上野動物園の東園と西園を結び、全長330mの単線を折り返し運転していた。1両の定員は31人で2両を連結。運賃は大人150円、子ども80円だった。車両の経年劣化で2019年11月1日から運行を休止している。都は車両の更新を検討したものの、部品が製造されていないなどの理由でモノレールの廃止を決めた。運行休止後は、バスを無料で走らせていたが、本数と座席が少なく、満席で乗れないことも多かった。

 都が求める提案の対象事業は、下記3つのうちいずれか1つ以上。

赤い点線内が提案の対象範囲。範囲内の任意の場所で、事業をするための提案を募る。ジャイアントパンダは西園に4頭、東園に1頭いる(資料:東京都)
赤い点線内が提案の対象範囲。範囲内の任意の場所で、事業をするための提案を募る。ジャイアントパンダは西園に4頭、東園に1頭いる(資料:東京都)
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  1つめは新たな乗り物。車両・軌道・駅舎などの整備と維持運営への提案を募る。都は小型モノレールを想定しているが、それ以外の提案も可能。既存のモノレールと同等以上の輸送能力があるのが条件だ。

 これらの整備や運行に当たっては、ジャイアントパンダなど動物への配慮を求める。モノレール西園駅のすぐ近くでは、モノレール廃止翌年の2020年9月、新パンダ舎を含む「パンダのもり」がオープンした。ここで2021年6月に同園初の双子パンダが生まれている。

 「整備や将来の改修の際、パンダの飼育や観覧にできるだけ影響が出ないようにしなければなりません。ただ、敷地の形状から、ほかの運行ルートは難しく、東園の駅の場所も、なかなか変えられません。でも西園の駅は『パンダのもり』と非常に近接しているので、同じ場所に造るのは難しいと考えています」(東京都建設局公園緑地部公園建設課)

 二つめは収益施設。駅舎に併設するだけでなく、車両や駅舎を活用するアイデアでも構わない。飲食施設や物販施設、体験イベントなど自由に提案できる。

 現在、園内にある飲食施設は、東京動物園協会が運営している。東動協は、上野動物園を指定管理者制度で運営する公益財団法人。今後、民間が提案する収益施設が飲食施設となった場合、東動協の施設と民間の施設とで別々に運営するのか、あるいは競合するので一体化して民間が運営するのか、といったことは未定だ。

 三つめは既存モノレール施設の活用方法。都は全て撤去することを想定しているが、現状のまま残す案や、車両など一部を移設して活用する案など幅広い提案を求める。

 民間に求める主な提案内容は、(1)整備範囲や配置イメージなどの事業計画、(2)事業手法やリスクの公民分担、望ましい事業期間、設計・工事に必要な期間といった事業の実施条件、(3)想定されるコスト(整備費や管理運営費)と収益(運賃収入や収益施設の運営収益など)。運賃は任意に設定できる。

 都は、参加希望者に対する現地見学会を2月28日に開催した。今後は、4月25日~28日に提案書を受け付け、5月16日~20日に都と民間事業者の間で個別対話を行い、7月に調査結果の概要を公表する予定。事業期間は20~30年間とすることを都は検討している。