千葉県市原市は2022年4月、高齢者宅のスマートメーターから取得する電力データを用いて、高齢者のフレイル状態や日常の生活行動の変化を検知する実証実験を開始する。電力データの分析には、東京大学発のスタートアップであるJDSC(東京都文京区)のAI(人工知能)技術を利用する。フレイル状態とは、身体的機能や認知機能の低下が見られる状態のことで、健康な状態と要介護状態の中間に位置する。適切な治療や予防を施すことで要介護状態に進まずに済む可能性があるため、早期の発見・対応が重要とされている。

実証実験のイメージと役割分担(資料:JDSC)
実証実験のイメージと役割分担(資料:JDSC)
[画像のクリックで拡大表示]

 実証実験では、電力データの分析結果から高齢者の日常生活をモニタリングしたうえで、高齢者ごとに適切な運動指導や食事の提供、訪問による見守りを実施する。フレイル状態の検知から運動や食事による改善プログラムまでを一気に提供することで、フレイル状態の改善や健康状態の維持が実現できるかどうかを検証する。実験は市原市の青葉台団地に居住する65歳以上の高齢者30人(フレイル状態、プレフレイル状態、ノンフレイル状態それぞれ10人)を対象に2022年夏ごろまで実施し、年内に検証結果を取りまとめる。

 市原市はJDSCに加えて、東京大学大学院情報学環・学際情報学府、第一生命保険、グローバルキッチン、RIZAP、合同会社ネコリコ(東京都千代田区)とフレイル状態の予防・改善に向けた事業構築についての連携協定を締結しており、実験では改善プログラムの食事をグローバルキッチン、運動をRIZAP、見守り訪問を第一生命保険、電力データのモニタリングとレポート作成をJDSCと家庭向けIoTサービス事業を展開するネコリコが担当する。

 市原市は「いちはら高齢者福祉共生プラン(市原市高齢者保健福祉計画・第8期介護保険事業計画)」において、フレイル対策を重点施策に位置付けており、これまでもフレイルチェック講座などの介護予防施策を実施してきた。今回の実証実験も、その施策の1つとなる。