国土交通省は、コンセッション方式で運営している国管理空港の改善策などを検討する「民間委託空港状況フォローアップ会議」を開催し、その報告書を2022年3月11日に発表した。報告書で示した改善策は、今後の案件に反映させる方針だ。

2021年11月30日に開催された第1回のフォローアップ会議(写真:中川 美帆)
2021年11月30日に開催された第1回のフォローアップ会議(写真:中川 美帆)
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 コンセッション方式で運営する国管理空港は、開始順に、仙台空港、高松空港、福岡空港、熊本空港、北海道内7空港(このうち国管理は新千歳、稚内、釧路、函館の4空港)、広島空港。

 フォローアップ会議の開催に当たり、広島空港の運営権者の公募に参加した民間15社と審査委員6人、コンセッション空港がある5道県、コンセッション方式で空港を運営する6社に対し、アンケートやヒアリングを実施。これらを踏まえつつ議論をした。委員長は、東京女子大学現代教養学部国際社会学科の竹内健蔵教授が務めた。

 報告書で示した仕組みの改善策は主に以下の5項目だ。

  1. 一次審査における提案審査の省略・簡略化
    参加者が3者以下なら提案審査を省略する。4者以上の場合でも、収支計画と運営権対価を提案項目に入れるかどうか、案件ごとに検討する。
  2. 二次審査の提案項目と配点の見直し
    アンケートなどでは「過去の案件の二次審査は、総じて運営権対価の提案の配点が高い」との意見が多く、「それ以外の提案項目では、他の応募者と差がつきにくいのではないか」との意見があった。これらを踏まえ、運営権対価を含む各審査項目の配点や採点方法などは、案件ごとにその背景と事情を踏まえて検討することが望ましいとした。
  3. 駐車場事業を譲渡するスキームの変更
    広島空港の場合は、既存の駐車場事業者である一般財団法人が、運営権者に事業を無償で譲渡(寄付)した。だが、寄附の相手先が国ではなく民間事業者なので、法律で定める「公益目的支出」に該当しないことが判明。そのため、運営権者に有償で譲渡したうえで、この譲渡代金を国に寄附するスキームに変える。
  4. 瑕疵担保要件の見直し
    瑕疵担保期間の制限や、補償対象となる1件当たりの損害下限額、補償額の上限、補償方法についての見直しを案件ごとに検討する。
  5. 空港の脱炭素化や、AI・ロボットなど新技術に対応した取り組みの促進
    優先交渉権者の選定基準で、これらの取り組みを明示したり、事業開始後も取り組みを続けられるようにインセンティブを与えたりする。

コロナ禍を踏まえ実施契約のあり方も検証

 実施契約のあり方も検証した。背景には、コロナ禍による打撃がある。コンセッション方式で空港を運営する会社の2020年度の売上高は、前年度に比べ大きく減った。高松空港株式会社は約51%減、仙台国際空港株式会社は約57%減、福岡国際空港株式会社は約66%減だ。

 国交省は対策として、(1)空港施設の整備への無利子貸し付け、(2)福岡空港と北海道内7空港に対する、運営権対価分割金の支払いの年度越え猶予、(3)空港運営事業の期間延長、(4)実施契約上の履行義務の緩和――といった支援を実施。だが、これらだけでは損失補填に不十分との意見がアンケートなどで多かった。そのため報告書では、いくつかの提言をしている。

 例えば、運営権対価の支払いでは、分割払いを柔軟に採用する。これまでの案件では、一括払いのみ、もしくは一括払いと分割払いを組み合わせた方法だった。また、分割払いを採用する際は、毎回の支払い額を固定せず、収益や旅客数と連動させる方法なども検討する。

 国による無利子貸し付けの条項を実施契約に入れることも、案件ごとに検討する。各事業年度の収益が基準を上回った場合に運営権者が管理者に金銭を支払う「プロフィット・シェアリング」と、その逆の「ロス・シェアリング」の条項についても同様に検討する。

 独立採算での運営が難しく、管理者が運営権者に金銭を支払う「混合型コンセッション」は、国管理空港では採用されていない。だが報告書は、今後、採用される可能性について言及した。混合型を採用した場合も、独立採算型と同じく、プロフィット/ロス・シェアリングなどの条項を実施契約に盛り込むことについて、検討するとした。

 国交省は、2018年度に空港コンセッション検証会議を開催。さらに「未来投資戦略2018」などに基づき、フォローアップ会議を2021年11月30日に立ち上げた。会議は2022年2月1日、3月3日にも開催した。国交省は今後も定期的に会議を開き、フォローアップをしていく予定。