内閣官房IT総合戦略室に設置されているシェアリングエコノミー促進室は、3月20日、自治体や民間事業者が、シェアリングエコノミーを活用している事例をまとめた「シェア・ニッポン100 ~未来へつなぐ地域の活力~」を公開した。今回は2017年度版として日本全国の37事例を紹介している。

掲載事例一覧(資料:内閣官房)
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 シェアリングエコノミーとは、個人や法人が持つスペースや物、時間、スキルといった有形無形の資産を、インターネット上のマッチングプラットフォームを介して、他者も利用可能とする経済活動のこと。事例集では、それぞれの取り組みの概要とその結果、取り組みにあたって注力した点や留意した点、および今後の課題と継続して取り組む点などをまとめた。今後も、順次改訂を行い、2020年度までに、100事例掲載を目指す。

 事例は、シェアリングエコノミー促進室への情報提供を呼びかけたほか、関係省庁や一般社団法人のシェアリングエコノミー協会へのヒアリング、および都道府県と市区町村へのアンケートを通じて収集した。その中から、取り組みの効果が表れている事例や、現時点では結果が表れていなくても、解決しようとしている地域課題が具体的で、取り組み内容にも独創性や新規性がある事例を選び、今回の事例集に掲載した。

 取り上げた37事例を地域別に見ると、九州沖縄が10件(27%)と最も多く、関東甲信越が8件(22%)で続いた。取り組みのきっかけとなった地域課題としては、観光振興が11件(29%)と最も多かったほか、就業機会の創出、地域の足の確保、子育てと女性活躍支援などが多く挙がっている。

 37事例の多くは、まだ実証、試行の段階にあるが、一部の取り組みでは、少しずつ効果が表れている。その一例が、北海道の西北部に位置する天塩町の取り組みだ。総合病院などの生活インフラが、約70km離れた稚内市内にあり、公共交通機関では日帰りができないため、自分で運転ができない交通弱者の地域の足の確保として、天塩と稚内の間を往復する住民同士の「相乗り」マッチングサービスを開始した事例だ。同乗者がガソリン代と高速道路代を負担するコストシェア型の相乗りで、町内の高齢者の約1割が利用するサービスに育っている。

天塩町の取り組み概要(資料:内閣官房)
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 シェアリングエコノミー促進室は、掲載事例の全体的な特徴について、単独自治体の取り組みが多いが、自治体と連携して観光振興に取り組むDMOなどが介在することで自治体の枠を超えた広域での展開事例も出ていると報告している。また、今後の課題としては、住民の理解や認知の向上を上げる団体が多いことから、地域単位の周知だけでなく全国単位での認知度の底上げが重要だと指摘している。

 政府は、少子高齢化社会を迎える日本の社会課題の解決につながる可能性のあるものとして、シェアリングエコノミーに注目。情報提供や相談窓口機能のほか、自主的ルールの普及・促進など、シェアリングエコノミーの促進に関する取り組みを推進するために、2017年1月にシェアリングエコノミー促進室を設置した。

 シェアリングエコノミー促進室は、この事例集を、内閣官房IT総合政略室が運営するウェブサイト「政府CIOポータル」で公表するほか、関係団体の協力も得ながら、内容を広く発信していく計画だ。個別の事例に関する質問なども含め、問い合わせにも対応していく。周知を通じて得た反応などは、次回の事例集改訂に反映し、内容の充実を図る。