鳥取県は、PFI方式(BT方式+コンセッション)による再整備を目指している鳥取県営水力発電所について、優先交渉権者の提案概要と審査講評を3月30日に公表した。水力発電施設のコンセッションは日本初の事例となる。優先交渉権者はコンソーシアム「アクエリアス」。三峰川電力(代表企業)、中部電力のほか、チュウブ(鳥取県琴浦町)と美保テクノス(同米子市)の4社で構成する。最終審査に進んだ4者の中から3月5日に選定した。

第二次審査結果(資料:鳥取県)
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 事業の名称は、鳥取県営水力発電所再整備・運営等事業。1950年代後半から60年代後半にかけて整備され、運営開始から50年以上が経過している小鹿(おしか)第一発電所、小鹿第二発電所、日野川第一発電所の3発電所の再整備(BT方式)と、これに春米(つくよね)発電所(県の整備費38億円を事業者が負担))を含めた4発電所の整備を行い、20年間の運営維持をコンセッション方式で実施するという内容だ。運営権対価の提案額は165億円。

人材を育成し、21年目以降は地元企業主体での運営を目指す(鳥取県提供のアクエリアスによる提案資料を一部加工)
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  このうち舂米については20年9月から運営を開始予定だ。ほかの3カ所については数年かけて再整備した後の20年間の運営を担う。再整備業務の実施に要する費用は県がその支払債務を負担の上、運営権対価の一括金の一部と相殺する。

 今回の公募は、二次審査において、(1)確実な事業遂行体制、(2)安全かつ確実な事業運営、(3)再生可能エネルギーの安定供給、(4)地域経済の発展への寄与、(5)県の財政健全化への寄与(運営権対価)――の5つの事項について、300点満点で審査が行われた。300点のうち(5)の配点が最大の75点を占める。

 アクエリアスは応募4者のうち最高額の運営権対価を提案し、(5)で満点の75点を獲得したほか、(1)~(4)のいずれも4者の中で最高得点を獲得した。講評では、県外のノウハウを活用して地域との共生を実現することや、地域経済貢献と県内活性化に関する提案の確実な実行などについて期待が寄せられた。今後は、県議会での議決を経て7月中に契約を締結し、2020年9月から春米発電所の運営権がスタートする予定だ。残り3施設は、再整備完了後に運営権スタートとなる。最も整備が遅い小鹿第一発電所は2024年2月の運転開始予定だ。

 アクエリアスの提案は、コンセッション期間が終了する21年目以降は地元企業を主体とする事業運営へと移行を目指し、計50年間にわたり安全・安定的な運営を実現するというもの。提案書では、地元の人材・企業の育成と次世代への技術継承、県利益の最大化への寄与など地元への貢献をうたっている。再整備業務で41億円、運営維持業務50年間で地元企業に67億円(当初20年間で21億円)を発注する計画だ。

 なお、次点は中国電力を代表とするコンソーシアムだった。このほか第二次審査には、日本工営、東京電力グループの東京発電をそれぞれ代表とするコンソーシアムが参加していた。