自営線の敷設コストを削減

 今回の事業における役割分担は、以下になる。京セラは、プロジェクト全体の取りまとめ、太陽光パネルと蓄電池の導入・運用、地域エネルギーマネジメント(REM)を活用したマイクログリッド内の需給バランス、電圧・周波数安定化を行う。A.L.I.は、調整力ユニットおよびREMの導入、ブロックチェーン技術を活用した再エネ共有モデルの構築などを担当する(図4)。

図4●調整力ユニット(演算サーバ)を収納したコンテナ。A.L.I. Technologiesが運用する
図4●調整力ユニット(演算サーバ)を収納したコンテナ。A.L.I. Technologiesが運用する
(出所:日経BP)
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 REXEVは、EVの提供およびEVによる調整力基盤としてのEVエネルギー管理システム(EVEM)を構築する。 湘南電力は、地域新電力としての地域内への電力供給、平常時における電力の需給管理・調整を担当する。小田原市は、エネルギー施策との連携、取り組みの周知・発信を行う。

 今回の事業は、昨年9月に経産省の令和2年度「地域の系統線を活用したエネルギー面的利用事業(地域マイクログリッド構築事業)」に採択されたもの。

 一般送配電事業者の既設配電網を活用した地域主体のマイクログリッドとしては、北海道松前町での蓄電池併設型風力を利用する構想や、宮城県大衡村の工業団地におけるガスエンジン発電設備を電源にした構想がある。今秋に小田原市のマイクログリッド関連設備が完工し、災害時を想定した独立運用試験を実施できれば、既存配電網による、国内で初めての実運用段階でのマイクログリッド事業になる(関連記事:松前町「マイクログリッド」構築へ、風力と蓄電池で全町自立)。

 従来、災害時のレジリエンスに備えた地域マイクログリッドでは、自立型電源と重要施設などを自営線で結ぶことで系統停電時の電力自給を実現した例があった。宮城県東松島市の「スマート防災エコタウン」や千葉県睦沢町の「むつざわスマートウェルネスタウン」、福島県葛尾村の「葛尾村スマートコミュニティ事業」などが、一定の成果を上げている。ただ、こうした「自営線マイクログリッド」は自営線の敷設コストが大きくなる課題があった(関連記事:国内初! 太陽光と蓄電池による「自営線マイクログリッド」)(関連記事:「千葉大停電」下でも、道の駅と住宅に電気と熱を供給)。

 一般送配電事業者の既存の配電網を活用し、非常時に柱上開閉器の操作で系統から独立した運用を実現できれば、レジリエンス対応の地域マイクログリッドの構築費用が大幅に低減できることになる。