自治体病院と民間病院のユニークな統合再編事例として注目されていた、兵庫県立はりま姫路総合医療センターが5月1日にオープンした。JR姫路駅から東へ徒歩12分(約1km)の場所に12階建ての新病院を建設、34の診療科を設け病床数は全部で736床。元島根大学医学部長の木下芳一氏を院長に、2000人を超えるスタッフを擁する。640床からスタートし、早期のフルオープンを目指すという。総事業費は約423億円。

県立病院と民間病院を統合し、700床を超える大病院としてオープンしたはりま姫路総合医療センター(写真:同医療センター)
県立病院と民間病院を統合し、700床を超える大病院としてオープンしたはりま姫路総合医療センター(写真:同医療センター)
[画像のクリックで拡大表示]

 はりま姫路総合医療センターは、姫路駅の西にある県立姫路循環器病センター(330床)と、南西にある社会医療法人製鉄記念広畑病院(392床)を統合した病院。両病院はいずれも救命救急センターを運営していたが、専門病院であることや規模の面などから重症患者の受け入れに限界があった。そこで2病院を統合して姫路市内の高度専門医療と救命救急医療の機能を集約、重症の救急患者を常時受け入れ、かつどんな病気にも対応できる病院づくりが進められてきた。

 併せて若手医師らが地元に戻ってくるように教育・研修の充実を図ることや、医療を向上させるための臨床研究も使命としている。

期間限定の連携推進法人で様々な業務

 この事例には、2017年にはりま姫路総合医療センター整備推進機構という地域医療連携推進法人を設立・活用し、2病院の機能分担と業務連携を進めたという特徴がある。地域医療連携推進法人とは、厚生労働省が同年からスタートさせた、医療機関、自治体、非営利の介護事業者などが社員として参加する地域医療連携のための「プラットフォーム」。対象地域や参加法人、理念・運営方針、具体的な取り組みなどを盛り込んだ「医療連携推進方針」を定め、様々な事業に取り組む。

地域医療連携推進法人制度の概要(出所:厚生労働省)
地域医療連携推進法人制度の概要(出所:厚生労働省)
[画像のクリックで拡大表示]

 同整備推進機構は、兵庫県中播磨・西播磨を推進区域とし、兵庫県と社会医療法人製鉄記念広畑病院の2法人が参加。診療機能の集約化や教育・研修機能を持つための指導体制の充実強化などを図るため、統合前から機能分担と業務連携を推進し、質の高い効率的な医療提供体制の確保を掲げてきた。事業報告書によれば、医師の派遣・診療支援の実施と強化、地域医療連携懇話会の開催、救急医療に関する消防機関との意見交換会などの開催、合同研修会の開催や研修会への相互参加、医療安全やクリニカルパスなどの統一化の検討、看護師など医療技術職の相互交流などを行ってきた。

 自治体病院と民間病院の統合再編にあたり、病院を地方独立行政法人の傘下に入れて取り組む例はこれまでにもあったが、地域医療連携推進法人を活用して最終目標である新病院開院にこぎ着けたのは今回が初めてとみられる。新病院は県が直営する方針であったため、統合再編の過程で発生する多種多様な問題の調整の場として法人があった方がいいと考え、地域医療連携推進法人を設立して活用したという。

 地域の医療機関への配慮もあり、はりま姫路総合医療センター整備推進機構は期間限定で活動、新病院の開院後に解散することになっている。新しい仕組みを活用して5年前から連携に取り組んできた成果が、診療や経営にどう反映されるか注目したい。