大阪府と大阪市は「大阪城東部地区のまちづくりの方向性(案)」を公表し、5月1日からパブリックコメントを実施中だ。意見の提出は6月3日まで。対象エリアは、JR大阪環状線の大阪城公園駅と森ノ宮駅、および大阪市高速電気軌道(大阪メトロ)森ノ宮駅の東側に広がる約53万m2に及ぶ一帯だ。

大阪城東部地区の概要(資料:大阪府・大阪市)
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ゾーニングのイメージ(資料:大阪府・大阪市)
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 2022年4月に大阪府立大学と大阪市立大学を母体とする新公立大学が誕生するが、同地区には25年度をめどに、新大学の都心メインキャンパスが整備される方針。また、府と市が20年3月に策定した「大阪スマートシティ戦略」では、スマートシティーの実証・実装フィールドとして、同地区の活用が検討されている。これらも踏まえて、「大学とともに成長するイノベーション・フィールド・シティ」をコンセプトに、新大学を先導役として、観光集客、健康医療、人材育成、居住機能などの集積によって、多世代・多様な人が集い交流する、国際色あるまちを目指すというまちづくりの方向性が、府と市から示された。

 同地区では、12年にごみ焼却工場の「森之宮工場」の建て替え計画が中止になり、工場跡地と建て替え計画用地が未利用になっている。このほか、同じく未利用の府立成人病センター跡地、1970年前後に整備された大規模なUR団地、通水から50年以上が経過した市の下水処理場、回遊性の妨げとなっている鉄道施設などがある。そのため、大阪城公園と隣接し、情報関連企業が集積する大阪ビジネスパーク(OBP)地区や京橋地区にも近いポテンシャルの高いエリアながら、高度な都市利用ができていない状況にある。一方で、森之宮病院や赤十字血液センターなどの健康医療機能が集積しているという特徴も持つ。

 これらの状況を踏まえ、今回の方針では、新大学を中心にスタートアップ支援などの業務系機能、商業施設や国際色のあるにぎわい交流施設などの商業系機能、MICEなどの宿泊系機能、居住・健康医療系機能を整備する。

 地区は、元建て替え計画用地に整備する新大学キャンパスを中心とした「イノベーション・コア」、地区の北側に広がる河川(第二寝屋川)に面した「親水空間+立体活用ゾーン」、現在はUR団地や健康・医療各機関が建っている「多世代居住複合ゾーン」、現在の鉄道施設部分に当たる「拡張検討ゾーン」――の4ゾーンに区分した。

 親水空間+立体活用ゾーンは、隣接する大阪城公園との一体性を持たせるほか、現鉄道施設・下水処理場などの上部利用を進めるなどして土地の高度利用を図る。多世代居住複合ゾーンでは、住宅に加え、健康医療系機能と連携し、商業・業務などの機能も含めた住環境を実現する。拡張検討ゾーンは、当面は鉄道施設として継続利用するが、先行して東西の動線を確保し、将来的には上部の高度利用や土地利用転換なども検討する考えだ。これらによって、西側に隣接する大阪城公園や北側の京橋方面へのアクセス、および地区内の東西の動線を改善し、利便性や快適性、安全性を向上させる。

 今後のスケジュールは、1期整備として、25年4月までに新大学キャンパスを中心としたイノベーション・コアを整備。その後、1.5期として25年以降速やかに、鉄道施設上部の東西動線を整備、動線結節点の広場整備、工場跡地の暫定利用のほか、大学と地域の連携やイノベーション・コアの本格稼働などソフト面の展開も進める。その後の2期、3期では順次、他ゾーンの整備を進めていく想定だ。

 20年度はこの方針に基づき、全ゾーン共通のテーマとして、地区内の土地の高度利用手法の検討、エリアマネジメント組織の形成に向けた検討、周辺地域と連携したまちづくりの展開の検討などを始める。また、最初に整備が始まるイノベーション・コアゾーンでは、新大学主体のデータ連携プラットフォームの形成や、鉄道施設上部を含めた東西動線の確保に向けた整備手法などについて、検討を進めていく。