横浜市は、飲食店の経営およびコンサルティングを手掛けるゼットンと連携して、行動経済学(ナッジ)を活用した飲食店での食品ロス削減行動促進に関する実証実験を2021年9月20日~12月12日に実施した。実証実験の結果を取りまとめた報告書を4月26日に公開した。

 ナッジとは、ちょっとした仕掛けにより人の行動変容を促す手法のこと。禁止・命令するのではなく、人が自然に自発的に望ましい行動を選択するように誘導することを目的とした働きかけであり、これまで環境や健康・医療、教育などさまざまな分野で活用されている。

調査の流れ(出所:横浜市)
調査の流れ(出所:横浜市)
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 今回の実証実験では、ゼットンが横浜市内で運営するハワイアンレストラン「アロハテーブル コレットマーレみなみみらい」と、フレンチレストラン「山手十番館」の2店舗で食品ロス量の現況調査を実施。その調査結果を踏まえて、店舗ごとにナッジ介入案を検討し、ナッジ介入を行った際の食品ロス量を計量して実証結果を分析・考察した。

アロハテーブル(カジュアルに利用する店舗)での結果

「アロハテーブル コレットマーレみなみみらい」の店内(出所:ゼットン)
「アロハテーブル コレットマーレみなみみらい」の店内(出所:ゼットン)
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ライス量を分かりやすく表示したメニュー(出所:横浜市)
ライス量を分かりやすく表示したメニュー(出所:横浜市)
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完食した子供を対象にした表彰とお菓子のつかみ取りイベントを実施(出所:ゼットン)
完食した子供を対象にした表彰とお菓子のつかみ取りイベントを実施(出所:ゼットン)
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 アロハテーブルでは、現況調査の結果、ライスの残渣が全体の36%と特に多いことが分かった。また、女性や子供からの残渣量が多かったことから、主にライスに焦点を当てた対策を実施した。まず、ライス量を選択することとし、メニュー表にシールを貼り付けてライス量の大まかな目安が分かるようにした。その結果、ライス小盛り・大盛りの選択割合が8%から26%と大幅に上昇した。また、残渣率・ライス残渣率とも減少傾向が見られた。

 また、子供向けのインセンティブによる完食を目指す仕組みとして、完食事には表彰するとともにお菓子のつかみ取りに挑戦できるようにした。その結果、子供連れのグループだけでなく大人のみのグループに対しても残渣率の減少効果が見られた。店内での表彰状の読み上げなどによって、食べ切りに対する意識が啓発された可能性が考えられるという。

 このほかにも、米の生産をテーマとしたマンガイラストを作成し、マンガイラストのラストシーンと同じように料理にピックを差すことで印象に残るようにして食べ物を大切に残さないような心境に促すことを目指した。その結果、マンガイラストに描かれていたロコモコは残渣率の減少傾向が見られた。一方、ライスを提供するその他のメニューでは残渣率増加傾向が見られ、効果は限定的だったとしている。

アロハテーブルにおける効果的なナッジの例と想定できる他の飲食店への水平展開(出所:横浜市)
アロハテーブルにおける効果的なナッジの例と想定できる他の飲食店への水平展開(出所:横浜市)
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