長野県伊那市は2019年度中に、医師による遠隔診療が受けられる移動診察車の実証実験を本格的に開始する。移動診察車にはビデオ通話の設備があり、患者は車両内でビデオ通話を使って遠隔地にいる医師の診察を受ける。移動診察車には看護師が搭乗しており、医師の指示に従って患者の検査など必要な処置を行う。

移動診察車による遠隔医療実証実験のイメージ(資料:伊那市)
[画像のクリックで拡大表示]

 実証実験は、MONET Technologies(東京都港区)と連携しながら実施する。MONETは、次世代モビリティサービス基盤を構築・運用するために設立されたソフトバンクとトヨタ自動車の共同出資会社。移動診察車はMONETが運用する配車プラットフォームを利用して、効率的なルートで患者の自宅などを訪問する。また、実証実験の費用はトヨタ・モビリティ基金の助成を受けている。

 実証実験のフェーズ1となる2019年度は、まず医師による遠隔診療、看護師による訪問看護・介護や生体情報(バイタル)の計測までを実施する。フェーズ2となる2020年度以降は遠隔診療の担当医が調剤薬局へ電子処方箋を送付したり、担当医が地域の中核病院の医師と連携したりするための体制を整え、さらにフェーズ3となる2021年度以降は、調剤薬局などからドローンを使って医薬品を患者の自宅に配送することも検討している。

 伊那市は長野県で3番目に広い面積を有しており、高齢化・過疎化が進む山間地およびその周辺地域での医療体制の整備が大きな課題となっている。伊那市では、今回の実証実験を通じて、医師の負担を軽減しながら患者に寄り添った医療の実現を目指すとしている。

 伊那市とMONETは2019年5月14日、社会地域の発展に貢献する次世代モビリティサービス全般に関する業務連携協定を締結しており、今回の移動診察車の実証実験はその第1弾に位置付けられている。

・発表資料