公共施設等運営事業(コンセッション事業)を取り入れた公共下水道施設等運営事業を2020年4月に開始した高知県須崎市は、このほど関連情報をまとめたウェブページを開設した。

 同事業の対象は、汚水管きょ、終末処理場、雨水ポンプ場(5カ所)、雨水管きょ、漁業集落排水処理施設浄化槽、同中継ポンプ施設、クリーンセンター等の7施設だ。クリーンセンター等には、一般廃棄物最終処分場(埋立処分場および浸出水処理施設)と再資源化処理施設も含まれている。このような下水道のコンセッション事業は国内2例目、下水道の管きょも含むコンセッション事業としては、国内初の事例だ。

事業対象施設と事業方式(資料・須崎市)

 同事業は、公共下水道事業だけでなく、市が所管する漁業集落排水処理施設、クリーンセンターなどの複数の施設を対象とし、コンセッションに加えて、仕様書発注による維持管理委託(仕様委託)と包括的維持管理委託(包括委託)を組み合わせた、ハンドリング型の事業であることが大きな特徴だ。なお、従来のPFI事業とは異なり、施設の改築更新などのハード整備事業は対象外としている。

 具体的には、上記の7施設のうち、汚水管きょと終末処理場はコンセッション方式で運営・維持管理し、雨水ポンプ場と雨水管きょは仕様委託、漁業集落排水処理施設の浄化槽・中継ポンプ施設(管きょは除く)とクリーンセンター等は、包括委託で維持管理業務を行う。また、同事業全般の企画、経営もコンセッションの対象だ。これには、下水道事業計画や生活排水処理構想の改定、経営戦略策定、ストックマネジメント計画策定、企業会計移行支援などの計画策定関連業務などが含まれ、経営目標達成に向けて、事業者が主体的に、市の下水道事業のあり方を見据え、事業を運営していくスキームとなっている。

 これらの運営を担うのは、グリーンパートナーズ須崎。公募プロポーザルで優先交渉権者に選定されたグループが設立したSPCだ。上下水道のコンサルティングなどを手がけるNJSを代表に、四国ポンプセンター、日立造船中国工事、民間資金等活用事業推進機構、四国銀行の計5社で構成されている。SPCの収入源は、下水道利用料金と、包括委託と仕様発注に対して市が支払うサービス対価だ。サービス対価が発生するため、運営権対価はゼロ円とした。事業期間は2020年4月1日から2039年9月までの19.5年間。総事業費は26億9800万円で、VFM(Value For Money)は 約7.6%となる。

 同事業では、民間企業であるSPCのノウハウを最大限に生かし、公共ではできなかった手法も駆使して、官民一体となって市の下水道事業の経営改善を図っていく。今後は、AIやIoTなどの新技術も積極的に導入し、管きょなどの効率的な維持管理手法の確立を目指す考えだ。同時に、多様なインフラ管理を担う地元の人材の育成、下水道資産の活用による新たな収入源の確保にも取り組む。また、過疎市町村にも指定されている須崎市は、国土交通省のB-DASHプロジェクト(下水道革新的技術実証事業)にも採択された、処理場のダウンサイジングに関する研究にも取り組んでいる。そこで導入されている水処理技術、DHSシステムについて、SPCは、任意事業として、国内外からの視察者誘致などに取り組む考えだ。さらに、公共下水道事業やコンセッションについて、小規模自治体をはじめとする他の自治体のモデルとなるような情報発信にも取り組んでいく。