神戸市と独立行政法人都市再生機構(以下、UR都市機構)は、神戸市の密集市街地再生優先地区で「農」をコンセプトに居住環境の向上や地域価値を高める社会実験を実施する。約1540m2の土地に、一般社団法人グッドラックが貸し農園と公園機能を組み合わせた「みんなのうえんPARK」を開設するというもので、2022年7月の開園を目指す。

 神戸市とUR都市機構は、密集市街地のバリューアップには地域の人々、および関係する多様な人々を増やすことで、地域全体の認知度向上を図ることが不可欠と考え、今回の社会実験実施事業を行うことにした。実験を通じて、関係人口増加による地域コミュニティ醸成や、密集市街地解消の可能性を検討したい考えだ。社会実験の実施にあたっては、民間事業者から提案を募集し、グッドラックの提案に決定した。

実施区域の位置図(資料:神戸市)
実施区域の位置図(資料:神戸市)
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 実施場所となるUR都市機構の遊休地は、神戸市兵庫区湊川町9丁目ある。「みんなのうえんPARK」は、貸し農園エリアを中心としたコミュニティ農園「みんなのうえん」と、“民間公園”の「PARK」を組み合わせたもので、地域内外の多世代が集うスペースとする。「みんなのうえん」部分は、6m2×42区画の無農薬の貸し農園(有料)と集会場で構成され、普段は、集会場以外は解放して、地域内外の人がくつろげる場所にする。様々なイベントも開催し、人が集う工夫をするほか、非常時には防災拠点としても活用できるようにする。貸し農園は農機具完備に加えて、オンラインで栽培指導も受けることができ、初心者でも挑戦できる。コミュニティ農園では、食と農をテーマにしたコミュニティ醸成を図り、「PARK」のほうでは、子育て、教育、福祉などの多様なテーマでイベントを開催することで、様々なテーマのコミュニティを育んでいく計画だ。

“民間公園”の中に一体化して貸し農園の区画がある(資料:神戸市)
“民間公園”の中に一体化して貸し農園の区画がある(資料:神戸市)
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 運営者のグッドラックは、「コミュニティディベロップメント・カンパニー」と標榜し、貸し農園とイベントなどを組み合わせた「みんなのうえん」事業のほか、まちづくりコンサルティングやリノベーションなどを手がけ、これらの活動を通じて、多様なコミュニティの醸成に取り組んでいる。「みんなのうえん」は大阪市住之江区、大阪府寝屋川市で実施実績がある。

 今回の提案にあたっては、遊休地活用のモデルケースとして、ノウハウやプロセスを体系化し、発信することや、様々なシチュエーション下にある遊休地で展開可能であること、社会実験終了後もコミュニティを継続させることで、周辺地域でも事業展開可能なことなどを訴えた。