山梨県は2022年6月から2026年12月まで、山梨県甲斐市、学校法人日本航空学園(山梨県甲斐市)、富士山の銘水(山梨県富士吉田市)、富士ウェーブ(山梨県富士吉田市)と、電界結合方式によるEV(電気自動車)ワイヤレス走行中給電の実証実験を実施する。実験では、日本航空学園の山梨キャンパス(甲斐市)に全長500mのテストコースを設置。テストコースに埋め込んだ金属平板(送電側)とEVの底面に取り付けた金属平板(受電側)で「コンデンサー」を構成し、2枚の金属平板の間で発生する誘導電界を利用して走行中のEVに対して連続的にワイヤレス給電する。

今回の5者連携協定の位置付け(出所:富士ウェーブ)
今回の5者連携協定の位置付け(出所:富士ウェーブ)
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 実証実験では、大きく1)安全性、2)省エネ、3)コストの3つを検証する。このうち安全性については、電界結合方式ワイヤレス給電のメリットとされる「漏洩電磁界が少ない」「道路上の異物へのリスクが小さい」を確認するために「漏洩電磁界検証」「異物検出検証」「道路耐久性検証」「通信制御検証」を実施する。同じく、省エネについては「道路から車への給電効率が高い」「走行車の電費(EVにおける「燃費」)が少ない」を確認するために「給電効率化検証」「車両軽量化検証」、コストについては「インフラ敷設&保守コストが安価」「車自体のコストが安価」を確認するために「道路低コスト敷設技術検証」「車両コスト改造技術検証」を実施する。

電解結合方式によるワイヤレス給電の特長(出所:富士ウェーブ)
電解結合方式によるワイヤレス給電の特長(出所:富士ウェーブ)
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 実証実験に参加する産学官の5者は2022年5月25日に連携協定を締結しており、実験では以下のように役割を分担する。行政側は、山梨県が全体スキーム(枠組み)を支援し、甲斐市が地域産業および実験に参加する各事業者の支援を担当。事業者側は、日本航空学園が用地提供と技術支援、富士ウェーブの親会社である富士山の銘水が地方創生支援とグループ支援、富士ウェーブがワイヤレス給電についての技術と知見の提供を担当する。

 山梨県は2021年11月、「山梨県の産業振興の推進(カーボンニュートラル時代における学術及び科学技術の発展を通じて)と国内外への事業展開」を目的に、富士ウェーブおよび豊橋技術科学大学と産学官連携協定を締結した(産学官連携協定の発表資料)。そこでは山梨県が掲げる「ゼロカーボンシティ宣言」に向けて、富士ウェーブおよび豊橋技術科学大学が持つワイヤレス給電技術を活用する方針を打ち出しており、今回の実証実験は同協定の目標を具体化する第一歩に位置付けられている。

 富士ウェーブでは、日本航空学園のテストコース横に見学センターを併設する予定だ。また、実証実験と並行して同じ敷地内でワイヤレス給電家電の開発・生産、ワイヤレスハウスの開発にも取り組んでいく。将来的には山梨県内の各自治体と連携・協力しながら、ワイヤレス給電をコア技術とした社会実装・次世代型都市づくりを行い、山梨モデルの確立を目指す。

富士ウェーブの事業ロードマップ。次世代都市づくり、「山梨モデル」の確立を目指す(出所:富士ウェーブ)
富士ウェーブの事業ロードマップ。次世代都市づくり、「山梨モデル」の確立を目指す(出所:富士ウェーブ)
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