「博多コネクティッド」の範囲(資料:福岡市)
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建物内部の屋根のある広場でも、公開空地評価を最大2.5倍に(資料:福岡市)
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2028年末までに竣工するビルを対象とした「博多コネクティッドボーナス」。賑わいやつながりを生む広場や通路の整備を条件に、容積率を最大50%上乗せ(資料:福岡市)
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 福岡市は5月29日、博多駅周辺の再開発「博多コネクティッド」の本格始動として、新たな容積率緩和制度「博多コネクティッドボーナス」の創設を発表した。今後10年間で20棟の民間ビル建て替え誘導を目指す。同日、地権者による「博多駅エリア発展協議会」が発足。高島宗一郎福岡市長と、協議会会長を務めるJR九州の松下琢磨上席執行役員らが共同会見を行った。官民連携による賑わいづくりを進める。

 「博多コネクティッド」とは、博多駅を中心とした半径約500m、約80haを対象に、ビルの建て替えや歩行者ネットワークの拡大、周辺地区との回遊性向上を目指すもの。市は1月4日に概要を発表した。

 福岡市には博多駅周辺と天神の二大都市核があり、天神では2015~24年の10年間で30棟の建て替えを目指す「天神ビッグバン」が進行中だ。一方の博多駅周辺は、博多駅移転や山陽新幹線開通時に建てられたビルが多く、築40~50年が経過している。市は地下鉄七隈線の延伸や、はかた駅前通り再整備などの交通基盤の拡充に併せ、高機能なビルへの建て替え誘導を狙う。高島市長は会見で「福岡市に足りないのは、グローバルなビジネスができるスマートビル。セキュリティや耐震・免震などの性能を備えた先進的なビルが必要だ」と述べた。

 新制度「博多コネクティッドボーナス」は、2028年末までに竣工するビルが対象で、賑わいやつながりを生む広場や通路の整備を条件に、容積率を最大50%上乗せする。また、高さ制限の厳しい立地条件を考慮して、建物内部の屋根のある広場でも、公開空地評価を最大2.5倍とする。これにより、容積率を有効活用しやすくなる。さらに、認定されたビルには行政によるテナントの優先紹介やPRを行うほか、地域金融機関による融資も予定する。

 「天神ビッグバン」の目玉は航空法の高さ制限をエリア単位で緩和する点にあったが、博多はより福岡空港に近いため、個別の特例承認が必要になる。これに対し、市は国との協議に同行し支援する。ほか、「特定都市再生緊急整備地域」による国の支援制度の活用、緑地空間の創出や本社機能の移転・拡充に対しての税制優遇、立地交付金、「国家戦略道路占用事業」による公共空間の利活用といった優遇策を用意している。

 福岡アジア都市研究所は、20棟の建て替え目標を達成した場合、床面積は約1.5倍、雇用者数約1.6倍となり、10年間の建設投資効果は約2600億円、完了後の経済波及効果は年間約5000億円の純増と試算している。

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完了後の経済波及効果予測(資料:福岡市)

 博多駅西側の博多口周辺では2011年以降に「JR博多シティ」「KITTE博多」「JRJP博多ビル」などが完成しており、2018年12月には新たに「HEARTSバスステーション博多」が開業した。市は今後、東側の筑紫口駅前広場の再整備に取り組む。

 JR九州をはじめ、西日本シティ銀行、福岡地所など地権者17社で設立した「博多駅エリア発展協議会」は、「博多コネクティッド」エリアを対象に、再開発や建て替えの促進を目指す。松下会長は会見で「エリアのグランドビジョンを描いたうえで、街区ごと、通りごとにブレイクダウンして議論していく。通りを伝ってエリア外にもつながっていく取り組みにしたい」と語った。

この記事のURL https://project.nikkeibp.co.jp/atclppp/PPP/news/060401179/