京都市とNTTデータ経営研究所(東京都千代田区)は、京都市内有数の繁華街である四条通沿道のタクシーの駐停車マナー向上を目的に、行動経済学(ナッジ)を活用した実証実験を実施した。2022年5月30日、効果検証結果を発表した。

 四条通は、一部のタクシーによる交差点や横断歩道付近での客待ち、駐停車禁止である四条通本線上での客待ち停車など、道路交通法違反が多く発生している。これらの行為が、近隣バス停でのバス発着の妨害や渋滞を発生させる要因となっていた。

 実証実験では、人間の心理的な特性を踏まえた工夫によってより良い行動を促すナッジを活用して、タクシーの駐停車マナーの改善を目指した。実施前の2月8日~10日、実施後の2月15日~17日に違法車両をそれぞれ測定し、ナッジの効果を検証した。

四条河原町交差点に設置したタクシーの違法停車を示唆する看板。上が歩道側デザイン、下が車道側デザイン(画像提供:NTTデータ経営研究所)
四条河原町交差点に設置したタクシーの違法停車を示唆する看板。上が歩道側デザイン、下が車道側デザイン(画像提供:NTTデータ経営研究所)
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 四条河原町交差点南東角に、違法停車であることを示唆する看板を設置し、当該地点におけるタクシーの違法停車時間を測定した。その結果、看板設置前は合計違法停車時間が1日当たり平均45.81分だったのに対し、ナッジ看板設置後は同5.07分と、88%減少したことが分かった。

 また、四条通沿道タクシー乗り場2カ所(西行き:高島屋前、東行き:大丸前)に、タクシー停車時に適切な車間距離を示す看板を設置し、当該地点における本来の規定台数を超えた車両の台数を測定した。その結果、はみ出し停車台数の1日当たり平均が、西行きで5.67台から1.67台と71%減少、東行きで11.33台から8台と29%減少した。

四条通沿道タクシー乗り場(西行き)のタクシー車間を示す看板(画像提供:NTTデータ経営研究所)
四条通沿道タクシー乗り場(西行き)のタクシー車間を示す看板(画像提供:NTTデータ経営研究所)
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 このほかにも、所管の警察署から、四条河原町交差点および各タクシー乗り場での違法タクシーに関する苦情の頻度が設置前後で大幅に減少したとの報告があった。

 京都市では、今回の実証実験の成果を踏まえて、ナッジ看板を継続して設置する。一方、現在の看板は実証実験に向けて仮設したものであるため、将来の常設化についても検討する。

 NTTデータ経営研究所は、行動を起点としてより住民の幸福につながる政策・サービスの検討を支援する「行動デザインサービス」を提供している。今後は、実証実験で得た知見を踏まえながら、ナッジなど行動インサイトの活用を支援していく。

 今回の実証実験は、京都市が推進する公民連携・課題解決推進事業「KYOTO CITY OPEN LABO」の一環。同事業は、京都市が抱える様々な行政課題などに対し、民間企業などから課題解決に資する技術やノウハウ、アイデアなどを募集し、課題提示部署と民間企業が連携して実証実験や具体的実践などに取り組む仕組み。