旧都城市民会館の外観(撮影:斎藤信吾〔早稲田大学〕)
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 宮崎県都城市は、旧都城市民会館の保存活用にかかわる民間提案を募集する。提案を希望する場合は、7月17日までにメールや電話で意思表明する必要がある。提案書・表明書など書類の締め切りは8月15日。

 旧都城市民会館は、建築家・菊竹清訓の設計で1966年に竣工した、1407席の文化ホール。日本のメタボリズム建築の代表例として、今年1月までパリのポンピドー・センターで開催された「ジャパン-ネスJapan-ness 1945年以降の日本の建築と都市計画」展にも取り上げられた。

 都城市では、2006年に都城市総合文化ホールが開館したことを受け、07年3月に旧都城市民会館を閉館。施設や設備の老朽化を理由に、同年9月、解体を決定した。しかし翌10月、南九州学園から教室等に使いたいとの要請があり、市議会の議決を経て09年3月に同学園と20年間の無償貸与契約を締結。しかし、以来10年近く経っても活用の見通しがたたず、17年12月、同学園は市に返還を申し入れた。

 都城市議会は今年3月の定例会で旧都城市民会館についての検討状況を公表。改めて市民アンケートを実施するほか、民間提案を公募し、財源確保が見込める実現性の高い保存活用案があれば再検討、なければ07年の議決同様に全面解体することとした。

 これを受け、日本建築学会は「まず専門的見地から保存活用案を検討し、その情報に基づいて市民アンケートや民間提案公募を行うべき」と提案。急きょ「都城市民会館再生活用計画検討特別委員会報告書(暫定版)」をまとめ、5月31日に提出した。同報告書は活用再生の手法として「全体活用案」「屋根撤去1階活用案」「1階部分活用案」「暫定利用案」を提示し、ぞれぞれ概算工事費を約8.4億円、約5.4億円、約4.2億円、約2200万円と試算した。併せて、「全体活用案」の用途として「スポーツ施設」「マルシェ」「ショールーム」「ミュージアム」「オフィス・コールセンター」「アーティストインレジデンス」の6例を示している。

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スポーツ施設としての活用提案。日本建築学会では、このほかに「マルシェ」「ショールーム」「ミュージアム」「オフィス・コールセンター」「アーティストインレジデンス」の活用提案も示した(資料:日本建築学会都城市民会館再生活用計画検討特別委員会)

 今回の民間提案募集では、上記の日本建築学会による提案などを参考に、「具体的な保存活用等(改修含む)の案」「保存活用等の事業主体」「保存活用等による効果」「保存活用等に要する財源(改修費/維持管理費)」「財源の確保計画」「施設の管理体制 」の各項目について具体案を求めている。都城市単独での保存費用の負担は財政的に難しいことから、保存活用の実現性や維持管理も含む財源確保の確実性が認められない提案は審査の対象外となる。

 市では並行して7~8月に市民アンケートを実施する。その結果と保存活用案の審査結果を踏まえ、再度市議会に諮って方針を決定する。