北海道清水町と米国民泊大手Airbnb(エアビーアンドビー)の日本法人Airbnb Japanは6月29日、観光促進と経済発展を目的とした包括連携契約を締結した。「つなぐ・つむぐ・つくる」をテーマに、まちの中に点在する空き家や遊休資産を活用し、まち全体をひとつのホテルに見立てることで地域経済を活性化する「まちまるごとホテル」の実現を目指す。

 清水町は、北海道のほぼ中央に位置する人口約9100人の町だ。農業を基幹産業とし、牛乳生産は十勝エリアで.位の生産量だという。空港から近く道路、特急が停車する鉄道駅など交通の利便性は比較的高い。町全体で活動が盛んな「第九の合唱やアイスホッケーなどの文化・スポーツ」といった特徴がもあり、同町とAirbnb は潜在的な観光需要は高いと見る。

包括連携契約の締結式の様子と清水町の位置(写真:Airbnb、資料;記者発表での発表画像より)
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包括連携契約の締結式の様子と清水町の位置(写真:Airbnb、資料;記者発表での発表画像より)
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包括連携契約の締結式の様子と清水町の位置(写真:Airbnb、資料;記者発表での発表画像より)

 その一方、町の課題については、大きく2つを挙げている。1つは、まちの魅力を活かしきれていないこと。特に情報発信力の不足だ。もう1つは少子高齢化に対する不安で、人口減少に伴う空き家や遊休不動産が増加している。さらに、宿泊施設や移住者向け不動産物件の不足により、地元経済の活性化につながる滞在日数の長い観光や移住施策に思うように取り組めていないという実態があった。

 今回の取り組みは、清水町の魅力と、Airbnbが持つ多くの顧客や情報発信力とを合わせることで、町の課題の解決を図る。民泊という手法を通じて、①清水町の魅力を多くの人に知ってもらう(つなぐ)、②清水町を第二のふるさとと考えるファン(関係人口)が増える(つむぐ)、③清水町に住みたいと思う人が増え、まちの魅力をを伝える人が増える(つくる)、といった好循環の構築を目指す。

つなぐ・つむぐ・つくる、そして「まちまるごとホテル」実現へ

 具体的には、1年目は清水町の魅力を発信する取り組みを進める。行政が所有する「移住体験住宅」、ホームステイ型民泊、貸別荘、ファームステイなど、ユニークで多様な宿泊施設と、清水町の強みを活かした体験型コンテンツを相互に連携開発する。

 2年目は、宿泊体験を通して清水町ファンを増やす取り組みを行う。ワーケーションなど仕事と休暇を組み合わせた滞在型旅行の受け入れや、アイスホッケーや第九合唱など清水町の特色を活かした文化交流などを推進する。また、清水町ファンに向けて、ふるさと納税メニューを共同開発する。

 3年目は、清水町ファンが、町の暮らしをより体感できるよう、遊休不動産や商店街の空き店舗をリノベーション・ホスティングし、商店街を中心とした「まちまるごとホテル」構想の実現を目指す。コワーキングスペースやシェアオフィスを誘致し、宿泊や二拠点居住する人たちが町を回遊して地域経済が活性化する仕組みをつくる。

3年で「まちまるごとホテル」の実現を目指す事業イメージ(記者発表での発表画像より)
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3年で「まちまるごとホテル」の実現を目指す事業イメージ(記者発表での発表画像より)

 また、清水町の特徴的な取り組みとして、①水町長自らが民泊ホストに登録し、年に数回、町に訪れる観光客を受け入れる。また、②清水町職員も副業に民泊を取り入れ、新たな観光のあり方を自ら創出していく。さらに、③行政が所有する移住体験住宅をAirbnbに登録し、Airbnbの強みである若年層をターゲットに移住促進に取り組む。Airbnbはこれまでに自治体などと10件の観光促進を目的とした協定を結んでいるが、自治体としての上記3つの取り組みは全国初という。

「全国初」の3つの取り組み(記者発表での発表画像より)
「全国初」の3つの取り組み(記者発表での発表画像より)
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町長宅での民泊イメージ(記者発表での発表画像より)
町長宅での民泊イメージ(記者発表での発表画像より)
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 清水町長の阿部一男氏は、民泊最大手であるAirbnbが持つ多くの顧客と発信力によって、つなぐ・つむぐ・つくるの好循環が築かれていくことに期待を寄せた。また、町長が自ら民泊ホストに登録したことについては「自分が旗振り役となってリードしていきたい」と抱負を述べた。