埼玉県深谷市は、市の農業課題を解決する技術(アグリテック)を表彰する「DEEP VALLEY Agritech Award2019(ディープバレーアグリテックアワード2019)」を開催、7月16日から応募を開始した。受賞者には、出資の形で賞金を授与。総額1000万円を用意している。

深谷市「アグリテック集積戦略(概要版)」(2019年3月)より、ディープバレーの将来都市像
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 技術、製品、サービス、ビジネスモデルなどに関する提案を募集している。締め切りは2019年8月31日。書類審査とプレゼンテーション審査を経て、10月31日に公開プレゼンテーションによる最終審査を行う。受賞者に対しては、深谷市や日本全国で農業課題解決に向けた活動を展開できるように、出資のほか、実証フィールド提供などの支援をしていく。アワードの事務局は、求人情報サービスなどを手がけるマイナビが務める。

 提案は、プロダクト部門とコンセプト部門の2部門で募集。いずれの部門も「革新性が高く、現状の農業のあり方や、農業生産者の働き方を抜本的に改革し得る」提案を求めている。プロダクト部門は技術・製品・サービスを、コンセプト部門はアイデア・技術・ビジネスモデルを対象とする。プロダクト部門については、アイデア段階ではなく試作・実証実験段階、または開発完了、製品化完了段階にあるものが対象。コンセプト部門は、実現に向けた想定スケジュールや事業実施体制、次のステップ(試作・実証実験、開発、製品化などの段階)に関する内容も含めた具体的な提案を求めている。

 提案は、応募要項にある「深谷市の現状認識」から読み取れる課題を設定し、それを解決するものとする。市は、以下のような提案を例示している。

  • 農業生産者の手間や時間を省く技術・製品・サービス
  • 農作物の「収量」が増える技術・製品・サービス
  • 農作物の「品質」を高める技術・製品・サービス
  • 高齢者や若者などが容易に取り組める農業を実現するための技術・製品・サービス
  • その他、日本全国に展開可能な、農業課題を解決する革新的な技術・製品・サービス

 審査のポイントは、「事業性」「革新性」「社会発展性」の3点だ。応募資格は、提案した取り組みを実際に実施できる個人または法人。8月31日に応募を締め切った後、9月上旬に書類審査、9月21日・22日の期間にプレゼンテーションと面談による審査を実施し、最終審査となる公開プレゼンテーションは、10月31日に市内のホテルで実施する。プロダクト部門、コンセプト部門で最優秀賞を1件ずつ選ぶほか、両部門の提案の中から協賛企業賞を選出する計画だ。

 深谷市はかつて、製造業の工場誘致に取り組んだことがあるが、市内全域に優良農地が広がっていることから工業用地の確保が難しく、困難と判断した経緯がある。一方で、農業と食品製造業は地域の取引の核となる産業であり、この強みを生かす形で「農業×製造業・IT」のアグリテック関連産業の集積を目指すことにした。2019年3月には「アグリテック集積戦略」を策定。農業に関わる多様な企業がつながり、自発的な企業の集積が発生する「アグリテック集積都市 DEEP VALLEY」の実現を目指している。今回のアワードも、その取り組みの一環だ。

 DEEP VALLEYの実現に向けた活動は、官学民が連携して取り組んでいる。アワードの事務局を務めるマイナビ、ふるさと納税サイト「ふるさとチョイス」の運営を手がけるトラストバンクと、埼玉工業大学、および地元の3農業共同組合(ふかや農業協同組合、埼玉岡部農業協同組合、花園農業協同組合)、2つの商工業団体(深谷商工会議所、ふかや市商工会)がパートナーとして名前を連ねている。