大阪市と観光事業者や開発事業者などが設立した官民連携の組織である大阪版TIDモデル事業協議会(以下、協議会)は、「大阪・光の饗宴2019」開催期間中の12月14~25日に、大阪版TID制度のモデル事業として、市中心部のイルミネーション開催地を結ぶバス運行などを実施する。大阪・光の饗宴は、御堂筋や中之島公園などを中心に、市内の各地でイルミネーションを開催するイベント。今回の会期は2019年11月4日から20年1月31日までの89日間。

大阪・光の饗宴の昨年の様子(資料:大阪市)
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 大阪版TID制度は大阪の魅力創出と、観光客と交流人口の拡大を目指し、官民が連携した上で、民間事業者による持続可能な観光地としてのまちづくりを推進する取り組みである。TIDは、Tourism Improvement District(観光産業改善地区)の略。地域内のTID参加企業が、収入に対して一定の割合の金額を設定し、その資金を原資に、地域の観光マーケティングやプロモーション活動を行って、観光地としてのまちづくりに取り組むという仕組みだ。こうした取り組みは米国で始まっている。

 大阪市では、2019年で7年目を迎える「大阪・光の饗宴」の枠組みを活用し、光の饗宴の組織に参加している観光事業者や、市中心部でエリア活性化に取り組む開発事業者、大阪まちづくり協議会や市などが参加して、2019年5月に協議会を設立した。官民連携で観光課題の解決に取り組んでいく。

 今回、協議会が実施するモデル事業は、「大阪市中心部の周遊による観光客満足度向上に向けたモデル事業」と、「公共空間利活用における観光客満足度向上に向けたモデル事業」の2つ。具体的には、前者の「周遊」事業は、大阪・光の饗宴の中心的なプログラムである、OSAKA光のルネサンスを開催している期間中に、イルミネーションを実施している大阪駅前、淀屋橋(大阪市役所前)、難波(なんばパークス)、天王寺(てんしば)の4つのエリアを結ぶループバスを運行するというもの。OSAKA光のルネサンスは、12月14~25日の12日間にわたり、大阪市役所周辺から中之島公園にかけてのエリアで行うイルミネーションだ。

 モデル事業は、この期間に、大型貸し切りバス2台で計8便運航する。16時45分から約5時間の間に、4つのエリアの停留所に計8回停車する。バスの名称は、Osaka光ルネ(ヒカルネ)ループ号。サービスの対象は、協議会に参加している観光事業者のうち近畿日本ツーリスト、JTB、日本旅行、南海電気鉄道、阪急交通社の旅行商品の利用客だ。このモデル事業では、来街者用の観光商品の拡充、初来街の利便性向上、滞在時間延長による消費拡大や地域への賑わいの波及などについて検証する。

 後者の「公共空間利活用」事業は、公共施設や道路、公開空地といった公共区間の活用がもたらす新たな来街者の増加や、観光商品造成の拡充などを検証するというもの。具体的には淀屋橋にある大阪市役所を、前述の5社の観光事業者のバスツアー利用者向けに待合場所として提供し、利用者にとってわかりやすい「シンボル的な」場所を創出する。また、この待合場所の近隣に観光バスの共通乗降場を設置し、観光客の利便性を高めるとともに、観光客の歩道での滞留の解消と歩行者の安全確保にも取り組む。

 両モデル事業を通じて、協議会は利用者、協議会参加観光事業者、地域、行政などからデータを収集し、大阪市版TID制度の設計に反映させる計画だ。

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