東京都国立市は、市内の小学生から高校生までを対象に、子どもの学習機会を拡充するスタディクーポン制度を導入した。東京都が2020年度に制度化した補助金を財源に実施するもので、この補助金を使ったスタディクーポン事業は、渋谷区に続いて2例目である。実施主体は市の健康福祉部福祉総務課。運営するのは、市が委託したリング・リンクくにたちと(国立市)チャンス・フォー・チルドレン(江東区)だ。

スタディクーポン事業のしくみ(資料:チャンス・フォー・チルドレン)
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 スタディクーポンは、生活困窮世帯の子どもが、学習塾などの学校外教育を受けられるよう、受講料支払いに使えるクーポンを配布するという事業で、教育格差を減らし、貧困の連鎖を防ぐことを目的としている。チャンス・フォー・チルドレンが、2011年の東日本大震災を機に開始した。

 震災被災地域の児童向けには寄付金を原資としてクーポンを発行していたが、2019年度に渋谷区が公費を使ってスタディクーポン事業を導入。2020年度からは渋谷区の事例(関連記事)をモデルに、東京都が区市町村への補助事業として政策化した。「被保護者自立促進事業(包括補助)」のメニューに「学習環境整備費(スタディクーポン方式)」を追加したものだ。今回の「くにたちスタディクーポン」事業は、この補助金で原資の全額をまかなっている。

 なお、チャンス・フォー・チルドレンによれば2021年7月現在、渋谷区、国立市のほか、千葉市、千葉県南房総市、大阪市、佐賀県上峰町、那覇市でクーポン型の学校外教育費助成事業を導入しているという。

生活保護世帯の子ども対象、受験生には1人20万円分

 国立市は、生活保護受給世帯の子どもを対象に「学習環境整備費」として学習塾にかかる経費を現金支給してきた。しかし、立て替え払いが困難な世帯や、学習塾選びや入塾手続きなどが困難な世帯が利用に至らないという課題があった。クーポン方式を導入することで、立て替え払いが困難な世帯の利用を促進するとともに、学習塾選びや入塾手続きの支援、進路相談などを行い、子どもの学校外学習の機会を確保することとした。

 市は2021年3月~5月に公募プロポーザル方式で事業者を募集。運営を地元の一般社団法人であるリング・リンクくにたち、スタディクーポンを創始したチャンス・フォー・チルドレンに委託することに決めた。

 くにたちスタディクーポン事業の履行期間は2021年6月1日~2022年3月31日。対象となるのは、国立市の生活保護受給世帯に属する小学生、中学生および高校生(2021年2月時点では、対象となるのは47世帯、小学生38人、中学生20人、高校生17人)。

 対象サービスは、学習塾や家庭教師などで、国語、社会、算数(数学)、理科、外国語の学力向上を目的としたものだ。一人当たりのクーポン提供額は、小学生・中学1~2年生が10万円、高校1~2年生が15万円、中学校3年生・高校3年生が20万円。概算経費は349万8000円である。