「メガソーラービジネス」2019年8月24日付の記事より

 福井県美浜町は8月21日、太陽光発電の電力を活用した電気推進船(ソーラー船)の開発について、東京海洋大学と共同研究に関して契約を締結した。地元事業者を含めた産官学が連携してシステム開発を進め、2019年度内に実証船の完成を目指す。

 同町では三方五湖の観光遊覧船事業として、「ソーラー船」の導入可能性について検討してきた。これまでに国内の導入事例を調査した結果、東京海洋大学が開発した電気推進船が同事業の仕様に合致することから、今回共同研究に関する契約を締結した。

 東京海洋大学は、2010年5月にリチウムイオン蓄電池とモーターを動力とした急速充電対応型の電気推進船「らいちょうI」を建造した実績がある。さらに、2013年6月にはウォータージェット推進の「らいちょうS」、2014年3月には大型化および航続距離増加を目的としたハイブリッド型「らいちょうN」を建造している。

東京海洋大学が開発した電気推進船「らいちょうN」
(出所:福井県美浜町と東京海洋大学の発表資料)
[画像のクリックで拡大表示]

 共同研究では、「らいちょうN」を同大学周辺海域で走行させ、計画する運行距離や速度パターンなどを模擬的に設定。位置・速度・距離・使用電力・モーター出力・充電時間などの解析から、建造する新船での状態を検証・推定する。

 また、三方五湖、および三方五湖の久々子湖と水月湖を結ぶ水路である浦見川について現地調査を行い、船舶の設計に反映させる。特に、観光遊覧船の航路となる浦見川は、水深が約2mと浅いことから専用の船体構造が必要になるという。

 このほかにも、太陽光パネルを用いた充電システムの開発、ソーラー船の特性に合わせた運航計画や観光コンテンツの検討、今後の町のエネルギービジョンに関わるロードマップなどを提案していく。なお、実証船を建造する事業者は未定。

太陽光パネルから電気推進船に充電するシステムのイメージ
(出所:福井県美浜町と東京海洋大学の発表資料)
[画像のクリックで拡大表示]

 システム開発や実証船による実証実験の結果を踏まえて2021年度に商業船の建造を開始。同時に、太陽光発電設備を備えた発着場施設「新美浜町レークセンター(仮称)」の建築を進め、2023年春の北陸新幹線敦賀開業に合わせて商業運転の開始を目指す(関連記事:福井県美浜町、三方五湖遊覧に「ソーラー船」開発、太陽光で充電)。