愛知県蒲郡市は、市の中心地域である「蒲郡駅周辺市街地エリア」と隣接する埋立地の「海辺のみなとエリア」、および市の代表的な観光地である「竹島周辺エリア」の3つのエリアを「東港地区」と位置づけ、まちづくりの方向性や進め方などを示すまちづくりビジョンを策定。「蒲郡市東港地区まちづくりビジョン」として、8月27日に公表した。

まちづくりビジョンの対象地域(資料:蒲郡市)
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 3つのエリアのなかでも、「海辺のみなとエリア」は、埋め立てた土地のほとんどが未利用となっており、市街地と竹島にはさまれた恵まれた立地ながら、まちづくりに生かされていない状況が課題となっている。これを含めて市は、公民連携により実現可能性のある土地利用計画の検討や、東港地区一帯の道路、公園、広場、港といった公共空間の活用も推進したい考えで、今回、市のまちづくりへの取り組みに対する考え方とそれにより形成されるまちのイメージをビジョンに示した。

海辺のみなとエリアの土地利用想定図(資料:蒲郡市)
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 今回のまちづくりビジョンは、3つのエリアそれぞれが目指す姿と東港地区全体の将来像を示しているが、その前提として、まちづくりの方法を示すことに重点を置いていることが特徴だ。まちづくりに関わる市民、事業者、行政などがそれぞれの役割や立場で取り組むことを基本としており、今後、東港地区が目指す「竹島が浮かぶ三河湾に抱かれた、誰もが過ごしたくなる 居心地の良い まち」の実現に向けて、「公民連携のまちづくり」と「官民対話による事業推進」の2つの視点を持って取り組みを進めていくとしている。

 具体的には、公民連携のまちづくりについては、市民、事業者などによるまちづくりの主体を「まちを育てる人」と位置づけ、「まちを育てる人」が道路、公園、広場、港などの公共空間を利用しながら、日常的なまちのにぎわいや活力を生み出していくことができる環境を作る。そのために行政は、公共空間が活用しやすくなるように支援するなどの形で、協力して取り組みを推進していく。このような活動を通じて、「まちを育てる人」が、自らの生活の質の向上や経済的な豊かさを享受でき、また、収益性を確保しながら持続的なまちづくりができるエリアマネジメントの担い手となることを期待している。

 官民対話による事業推進については、行政機関や民間の開発事業者などを「まちづくりを支援する人」と位置づけ、主に公共空間や公的不動産を活用したまちづくりを、対話を通じて進めていく方針だ。特に、公的不動産へ民間活力を導入することで、にぎわいや居心地の良さを感じる場の創出などを目指し、官民連携事業(PPP)を推進していく。今後の公的不動産の活用に対しては、PPPの可能性を検討するためのサウンディング調査など、民間開発事業者との対話を各事業の検討プロセスに取り入れ、効果的な事業推進を図る。

まちづくりビジョン策定の経緯(資料:蒲郡市)
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 これらの取り組みを通じて、各エリアが目指す姿は以下の通り。蒲郡駅周辺市街地エリアは、住む人、訪れる人が「海辺のまち」の玄関口であることを感じながら、日々の生活を楽しめる充実した空間を目指す。駅前広場、公共施設の敷地内にあるオープンスペース、民間の再開発などで生まれる空地などを公民連携により活用し、市民や訪問者が過ごす場や交流する場を創出する。

 海辺のみなとエリアは、三河港の人流・交流を図る中心的役割を担う「みなとオアシスがまごおり」として、竹島水族館の機能更新など各施設の充実を図り、エリア全体の発展を目指す。海辺の散策や多様なアクティビティを通じて海とふれあい、人流や交流につながる土地利用を図るため、民間活力を活かした施設や機能の充実に向けた取組を推進する。また、災害時に向けて防災力も備えたエリアとする。

蒲郡市街と対象地域の位置関係(資料:蒲郡市)
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 竹島周辺エリアは、豊かな自然環境と歴史や文化が調和した魅力的な資源を活かし、観光だけでなく、新しい日常や新たなライフスタイルを創造・提案していくエリアを目指す。三河湾国定公園内に位置し、ゆとりある良質な空間の利用が考えられるため、民間事業者のアイデアとノウハウを活かした提案や施設整備を積極的に誘導していく。

 また、ビジョンでは、これらのテーマ性を持った3つのエリアを歩いてめぐることができる主要回遊動線を設ける方針も示されている。動線上や周辺に魅力的な施設や空間、各種イベントなどのコンテンツを配置することで、地区全体が居心地の良い空間となるとともに、回遊する者同士の交流が生まれる重要な空間となることを目指す。回遊動線設置に向けた検討の段階では、にぎわいの創出に資する新たな道路空間の利用のあり方や、新たなモビリティの導入など安全で快適な移動手段のあり方などを考えることを想定。公民連携による公共施設の活用や民間活力を生かした移動手段の導入などを検討していくとしている。