「Beyond Health」2020年9月1日付の記事より

 インターネットイニシアティブ(IIJ)は、同社が手掛ける「IIJ電子@連絡帳サービス」において、(1)災害時連携と(2)救急情報連携の機能追加を発表した。IIJ電子@連絡帳サービスは、在宅医療介護にかかわる専門職が情報共有するためのプラットフォーム。今回の機能追加により、在宅医療介護にかかわる専門職と自治体や消防署の間で情報連携できるようになる。

 自治体は災害や救急対応、高齢者の見守り、母子支援など幅広い地域課題に対処する必要がある。「こうした課題に対して、総合的に対応できるオプションが求められるようになった」。IIJ 公共システム事業部 ヘルスケア事業推進部の喜多剛志氏は、新バージョン開発の背景をこう説明する。

2020年8月26日に行われた記者会見で説明する喜多氏(写真:記者会見のオンライン画面キャプチャー)
2020年8月26日に行われた記者会見で説明する喜多氏(写真:記者会見のオンライン画面キャプチャー)
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「要援護者名簿」を共有

 (1)の災害時連携では、「避難行動要支援者名簿」(通称:要援護者名簿)を平時の在宅療養者ケアチームと共有できるようにした。

 自治体は、災害対策基本法に基づいて要援護者名簿の作成が義務付けられている。災害発生時の避難などで、高齢者・障害者・乳幼児など特に避難支援を要する住民の名簿である。

 平時は名簿の随時更新と避難支援を行う関係者との情報共有を行い、災害発生時には名簿に基づいて安比確認を行う必要がある。自治体にとって、名簿情報の共有のための負担が大きく、安否を確認した要援護者の情報共有の仕方も課題だったという。

要援護者情報を共有する災害時連携オプションの画面イメージ(出所:IIJ)
要援護者情報を共有する災害時連携オプションの画面イメージ(出所:IIJ)
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 今回の機能による実際の運用では、要援護者名簿を自治体の仕組みからIIJ電子@連絡帳サービスに一括で取り込む機能を用いて共有する。情報共有画面では、要援護者のリストが表示され、当該者名をタップすると地図上に所在場所をマッピングし、詳細情報を閲覧できる。要援護者情報には、それぞれ重度・中度・軽度など要援護者の状態ラベルも表示され、災害時に優先的に救助すべきか判断に利用できるようにした。

 安否確認した際には、安否情報を送信する機能がある。送信した安否確認情報は、要援護者確認チーム内で共有できる。かかりつけ医・ケアチームがいる患者の場合は、当該チーム全員に送信される。

救急車出動依頼の初動時にかかりつけ医の情報を知る

 (2)の救急情報連携は、主に消防指令台や救急隊員が活用する機能である。救急搬送時の前に患者の情報を取得することで円滑な救急活動を支援する。救急車出動依頼の初動時において、事前にかかりつけ医や近親者の情報を知ることで救急対応への集中と搬送後の急性期病院との連携に役立てる。

 独居高齢者宅などに救急隊が出動した際には、現地での患者の情報を取得が困難なことが多い。IIJ電子@連絡帳サービスを介して患者にかかわる情報を取得することで、救急搬送と搬送先病院での適切な対応を可能にするという。

救急情報連携オプションの利用イメージ(出所:IIJ)
救急情報連携オプションの利用イメージ(出所:IIJ)
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 消防指令台や救急隊員が閲覧できる情報は、IIJ電子@連絡帳サービスに登録された情報のうち、患者氏名や年齢、要介護度、近親者情報、かかりつけ医やケアチーム名簿、既往歴・処方歴などに絞り込まれている。簡潔かつ迅速に情報を取得できるよう配慮した。

 今後、厚生労働省が推進する「人生会議」(アドバンスケアプラニング)情報も共有する。本人が望まない延命治療などが行われないようにしていく。

 救急搬送後は、救急隊員が活動内容を報告できる。かかりつけ医・ケアチームや自治体は、搬送日時・搬送先病院、「無事に家族も合流できた」など搬送後の状況が共有できるようにした。


(タイトル部のImage:monsitj -stock.adobe.com)

この記事のURL https://project.nikkeibp.co.jp/atclppp/PPP/news/090301691/