「日経 xTECH(クロステック)」2018年9月18日付の記事より

 企業が府省庁の所管する情報をオープンデータにするよう求める「オープンデータ官民ラウンドテーブル」の第3回会合が2018年9月14日、開かれた。富士通など3社・1団体が府省庁の担当者に「土地・農業関連データ」について直接要望した。

写真 「オープンデータ官民ラウンドテーブル」第3回会合
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 富士通は、農林水産省が所管する農林水産消費安全技術センター(FAMIC)が公開している農薬のデータについて、ITを活用した「スマート農業」のため体系的な分類コードの付与や数値データの公開を求めた。現状は「野菜類」「キャベツ」といった作物の分類が混在して体系的ではないうえ、機械処理ができない文字データで公表されているという。

 また、都道府県単位の防除所などが個別にPDFファイルで公開している病害虫発生データの集約化や、人工知能(AI)で処理可能な病害虫画像データの公開など、「オープンデータの品質向上」(富士通)を求めた。

 これに対し農水省は2018年6月の農薬取締法改正を機に農薬登録システムの再構築を検討中だと説明。作物の分類コードの付与にも「トライしたい」と応じた。病害虫の発生データもCSVファイルなどで公開を検討し、画像データもオープンデータにすると説明した。

 十勝農業協同組合連合会は国土地理院の地図データについて、地殻変動の影響を反映した地図データを求めた。全国約1300カ所にある電子基準点もリアルタイムデータの無償公開を要望した。トラクターやドローンの自動運行に活用できるためだ。

 国土地理院は地図データについて、地殻変動を補正するシステムを開発する予定だと応じた。ただ、リアルタイムの電子基準点データについては難色を示した。5年ごとの公募で選定した配信機関を通じて4社の配信事業者が実費負担でデータを受信して、位置補正情報を作って利用者向け有料配信サービスを提供しているという。

 ラウンドテーブルに参加した有識者は「もとのデータは税金でまかなっていて、(有償で)追加費用を回収しているならば、利用者が増えるほど安くなるはず」と指摘。データを公開すれば農業分野などの利用者の増加につながるのではないかという意見が相次いだ。

 農業データの活用を進めているOrchard & Technology(オーチャード・アンド・テクノロジー)の末澤克彦社長は、認定農業者制度のために都道府県が管理している作物名や面積、人件費といった農業経営指標の基礎データの公開を求めた。農業経営者がデータを比較して自ら経営改善に役立てられるという。

 農水省は「オープンにする予定でデータを集計していない」と説明したものの、有識者は「公開を前提にすることもあり得る」という指摘も出た。

 不動産検索サイトを運営しているLIFULL(ライフル)は、自治体が管理している住所表記の一覧や、法務省の不動産登記情報について、不動産ID(識別子)を付与してオープンデータ化することを求めた。

 LIFULLは不動産IDがあれば、空き家の特定や不動産のおとり広告防止に役立てられると主張した。また、国土交通省に対しては大まかな不動産の取引情報などを提供している不動産流通標準情報システムに不動産IDをひも付けて、不動産価格が把握しやすくするよう求めた。

 しかし、総務省は自治体が住所表記を保有しているとして「自治体に一括して出すべきだと言う立場にない」と突っぱねた。法務省も「不動産登記事項の取得は受益者の負担。個人の特定につながる情報もある」と事実上困難だとした。

 国土交通省は「不動産の売買価格は個人の資産状況が分かる。個人が特定できないように精度を上げながら活用できるよう検討したい」という回答にとどまった。

 有識者からは「登記情報はお金を払えば氏名や住所も出る。どこまでの個人情報をどの文脈や目的で誰にまで公開できるか詳細な議論を進めていただきたい」と検討を求める声が相次いだ。「住所表記と緯度・経度のひも付けは最低限必要」という指摘もあった。

 さらに平本健二・政府CIO補佐官は2018年1月公表のデジタル・ガバメント実行計画に「町字情報」の整備などを盛り込んだと説明し、2018年中にオープンデータ化に取り組むとして総務省に協力を求める場面もあった。

この記事のURL https://project.nikkeibp.co.jp/atclppp/PPP/news/091800880/