奈良市は、市内で新たにシェアオフィスを設置、運営する事業者を公募する。事業の名称は奈良市シェアオフィス設置運営支援事業。市は、公募で選ばれた1社に対して施設整備と運営にかかる経費の一部を補助金で支援するほか、入居企業獲得のための間接支援も行う。応募を希望する場合は、9月30日までに参加申込みの手続きを行う。10月1日から10月12日12時までの期間に、所定の事業計画書など必要書類を提出する。その後、10月15日にプレゼンテーション審査を行い、10月下旬に事業者を決定する予定だ。

シェアオフィス設置運営事業者の事業要件(資料:奈良市)
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シェアオフィス設置運営事業者の事業要件(資料:奈良市)

  今回の支援の対象とするプロジェクトは、JR線の奈良駅、近鉄線の奈良駅、新大宮駅、大和西大寺駅から徒歩20分圏内に立地している施設が対象だ。事業者が保有または賃借する既存物件の改修を原則に、2022年3月15日までに開設することが条件だ。

  設置するシェアオフィスの要件としては、総席数20席以上、3人以上が利用できる広さの個室を3区画以上(個室の面積は1坪/人以上)、および共用スペースと会議室スペースの設置などを必須とする。オフィス環境については、セキュリティが確保されたWi-Fiなどの通信環境の整備、オフィス利用に必要な備品の整備、施設と個室の入退室管理に必要なセキュリティの確保、定期的な換気など新型コロナウイルス感染症感染防止のための設備の導入を要件に挙げている。

  運営面では、共有スペースにおける利用企業同士のコミュニケーションやコラボレーションを促すしかけづくり、コロナ禍における「新しい生活様式」に対応した管理・運営体制、利用者確保や施設と市の知名度向上に向けた広報活動などができる情報発信体制の構築などを求める。

 市は公募で選ばれた1事業者に対して、1000万円を上限に設置・運営に要した経費の3分の2を補助金として支援する。このほか、入居企業獲得のための間接支援として、「奈良市シェアオフィス」の周知、体験ツアー、見込み企業へのアポイント獲得など「広告宣伝・リード獲得事業」として予算350万円を用意する。また、県外からシェアオフィスに入居した企業に対して進出支援金(予算額300万円)を交付する。いずれも2021年度だけの措置で、2022年度以降は財政的な支援は行わないが、市による広報や営業活動などの支援は継続する。

 今回の事業の数値目標として、市は、2024年度末時点で県外の6事業者を含む8事業者の利用、毎年度4580人以上の延べ利用者(このうち県外からの契約企業の従業員を含む県外利用者の割合は80%)を掲げている。

 これらの条件や数値目標を踏まえて、応募者に対して奈良市は、事業の概要(施設のテーマ・コンセプト、入居企業・利用者像など)、物件概要・シェアオフィスのフロアプラン、施設運営の概要、ソフト面の取組内容、数値目標、事業スケジュールなどの提案を求める。

 奈良市では、新型コロナウイルス感染症拡大の影響による地方へのオフィス分散を見据え、2020年に、都市部のIT・クリエイティブ企業を対象とした「サテライトオフィス設置推進補助金」を創設。立地環境のよい奈良市への拠点誘致を進めてきた。今回、市内へのIT・クリエイティブ企業の立地・集積をさらに促進するために、市は地方創生テレワーク交付金を活用した「奈良市シェアオフィス」を用意し、企業が短い準備期間で初期投資を抑えてスピーディーに事業拠点を構えられる環境を整える。