「日経 xTECH(クロステック)」2018年9月26日付の記事より

 千葉県・木更津市と君津信用組合、木更津商工会議所は共同で、電子地域通貨の発行を2018年10月1日に始める。利用者はスマートフォンのアプリを使って現金を電子地域通貨に換金してチャージする。店頭の2次元コードを読み取ることで現金を使わずに支払いができる。まず同地域のスーパーやコンビニエンスストア、観光名所など310の加盟店で利用できる。地域内で電子地域通貨の流通を促し、地域経済の活性化を図る。

アクアコイン用の二次元コードを設置した店舗
(出所:アイリッジ、以下同)
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 名称は「アクアコイン」。行政と商工会議所、金融機関が連携して運営する電子地域通貨は全国初という。資金決済法における前払式支払手段に当たる。FinTechベンチャーのフィノバレーが運営する電子地域通貨システム「MoneyEasy」で運用する。フィノバレーはデジタルマーケティング支援のアイリッジの子会社。

 利用者は1円を1コインとしてスマホアプリにアクアコインをチャージして使う。支払い時には加盟店の店頭に設置した二次元コードをスマホアプリで読み取る。チャージできる場所は君津信用組合の営業店舗窓口で、店舗数は木更津市内に5店舗、市外に10店舗。

アクアコインのスマホアプリ画面
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 加盟店は客から受け取ったアクアコインを日本円に換金せず、消費者としての買い物に使ったり取引先への支払いに当てたりできる。アクアコインのまま君津信用組合の口座に預金することも可能だ。

 加盟店側は二次元コードを設置するだけでよいため、導入のハードルが低い。現金の管理や取り扱いといった店舗運営の手間も省ける。君津信用組合はアクアコインの発行や流通を促して地元の商店や中小企業の事業活性化を後押しするほか、決済データを基にした融資など新規事業の開拓も視野に入れる。

 木更津市が電子地域通貨の導入を決めたのは、東京一極集中が進むなかで、同地域の経済を活性化する手段として役立つと判断したためだ。1980年代に東京湾アクアラインが開通して地元の買い物需要を東京都心に吸い上げられるストロー現象に直面。一時は商業地の地価下落率全国一位を4年連続で記録した。地元の商店街や中小企業の活性化に向けて、クレジットカードや既存の電子マネーに比べて取り扱いが容易で即座に支払いに使える電子地域通貨に着目した。

 木更津市は地域住民同士のコミュニティ活性化や市政運営への参画にもアクアコインを役立てたい考えだ。具体的にはアクアコインに交換できる「行政ポイント」を2019年前半にも発行して、地域のボランティア活動などへの参加にポイントを付与する。