川崎市は2021年9月30日、旭タンカー、東京電力エナジーパートナーと協定を結び、“世界初”となる「ゼロエミッション電気推進タンカー」(二酸化炭素を排出しないEVタンカー。以下「EVタンカー」)の運行拠点として、川崎港の整備を進めることを発表した。川崎港および東京湾内で、2022年4月に第1船、2023年4月に第2船の運航を目指す。

EVタンカーのイメージ(資料:川崎市)
EVタンカーのイメージ(資料:川崎市)
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給電設備は、2022年4月の竣工をめどに、夜光けい留さん橋付近に設置される見込みだ(資料:川崎市)
給電設備は、2022年4月の竣工をめどに、夜光けい留さん橋付近に設置される見込みだ(資料:川崎市)
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 EVタンカーの建造と運航を行うのは旭タンカーで、川崎港内に設置する給電設備の開発・施行・保守保安管理を担うのは東京電力エナジーパートナー。市は、給電設備を設置するための湾港施設の利用を許可するなど、事業の推進に支障がないよう協力する。

 川崎市は、昨年11月に脱炭素戦略「かわさきカーボンゼロチャレンジ2050」を策定。2050年までの「CO2排出実質ゼロ」を目標に、具体的なアクションやプロジェクトを設定した。戦略の「第Ⅰの柱」は、市民・事業者などあらゆる主体と協働し、気候変動の緩和に取り組むことだ。今回の協定は、その「第Ⅰの柱」を支える「スマートムーブの推進」に関連する。

 旭タンカーが建造中のEVタンカーは総トン数499トン。主に船舶の燃料を輸送する油送船として活用される。エネルギーシステムの完全電化を実現した温室効果ガスや煤煙を排出しない「EVタンカー」の運航は世界初の試み。騒音や振動が抑えられることで、乗組員の労働負荷が低減し、港周辺の環境の良化も期待される。

 タンカーには、自然災害が発生した際の活用などを想定した陸上への電力供給システムも搭載されている。緊急時には同船の大容量蓄電池(一般的な電気自動車約100台分のリチウムイオン電池)からの電力供給も可能となる。EVタンカーの給電設備は、夜光けい留さん橋付近(川崎市川崎区夜光三丁目)に設置することで調整が進められている。

 川崎市は、内閣府によって2019年度の「SDGs未来都市」に選定され、持続可能なまちづくりを意識しながら、経済・社会・環境の三側面の調和や統合的な向上を目指した施策を推進している。本協定による川崎港の整備も、その取り組みの1つとして注目される。