2020年度の実証実験の様子
2020年度の実証実験の様子
(出所:ブラザー工業)
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2021年度に増設されたブラザー製燃料電池
2021年度に増設されたブラザー製燃料電池
(出所:ブラザー工業)
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「メガソーラービジネス」2021年10月12日付の記事より

 ブラザー工業は、福島県浪江町から受託した水素柱上パイプライン輸送実証事業について、10月5日から2021年度の実証実験を本格的に開始した。

 水素柱上パイプラインは、上空にパイプラインを敷設して低圧の水素を送るもの。災害などで配管が破断した際も、空気より軽い水素は生活圏より上で拡散されるため爆発する可能性は低く、人や生活に影響するリスクは低いとされる。

 ブラザーは、巴商会と横浜国立大学とともに3者共同企業体として同実証事業を推進している。2020年度は、システム提案および性能・安全性の検証、法規制の整理、活用モデルなどを検討した。出力4.4kWのブラザー製蓄電池1台に内径7.9mmのパイプラインを用いて0.1MPaの低圧で水素を輸送できることを実証した。

 2年目となる2021年度は、2022年度の実用化を目標に、昨年度と同様の3者共同企業体で更なる実証実験を行う。燃料電池の稼働台数を1台から5台・合計約20kWに増設、パイプラインを360mから1080mに延長するほか、実装を想定して分岐を設けることなどを予定しており、パイプライン内径などの実証を進める。

 当初は巴商会が用意した工業用水素を使用する。将来的には「福島水素エネルギー研究フィールド(FH2R)」のメガソーラー(大規模太陽光発電所)で製造されたグリーン水素を使用したいという構想があり、現在調整を進めている。このほかにも、課金方法の検討やリスクアセスメント、敷設コストの検討など、実用化に向けた具体的な検討フェーズへ移行する。

 実用段階では、浪江町で計画されるRE100産業団地や「なみえ水素タウン構想」の公共施設・商業施設・住宅へのエネルギー供給を想定する。1エリアで燃料電池23台・100kW規模で発電し、パイプラインの総延長は1km程度になる。実証事業の結果を基にシミュレーションし、水素柱上パイプラインの敷設に役立てる。