前橋市は、SIB(ソーシャル・インパクト・ボンド)による「前橋市アーバンデザイン推進事業」を実施する。第一生命保険(東京都千代田区)が資金を、すみれ地域信託(岐阜県高山市)が信託機能を提供し、都市再生推進法人の前橋デザインコミッション(群馬県前橋市)が事業を担う。リスクとリターンは、前橋デザインコミッションと第一生命保険とで分担する。市によれば、まちづくり分野におけるSIB導入は国内初。

 事業期間は21年9月16日から24年3月までの約2年半。まず、10月29日~31日に中央通りアーケードと複合施設「K´BIX元気21まえばし」を結ぶ馬場川通りで自動車の通行を制限し、あおぞら図書館や出店の社会実験を行う。22年5月にも同様の社会実験を予定するほか、期間内に適宜、まちづくり勉強会やワークショップを開催する。

SIBのスキーム図と事業概要(資料:国土交通省)
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SIBのスキーム図と事業概要(資料:国土交通省)

 事業の成果は、馬場川通りの歩行者通行量で測る。随時中間報告を行うが、報酬に連動するのは2024年2月の1ヶ月間の歩行者数だ。4万5915人以上で満額の1310万円、4万3663人以上で1120万円、4万1410人以下の場合は740万円となる。数値目標はこれまでに蓄積した中心市街地の通行量データに基づいて設定した。事業を通じて、AIカメラや現地視察で歩行者の表情や滞在時間を観察し、今後のまちづくりSIB指標の検討材料とする考えだ。

 前橋市は2020年度に国土交通省の事業に採択され(関連記事)、有限責任監査法人トーマツの支援を受けてSIB導入の検討を進めてきた。21年6月には内閣府の成果連動型民間委託契約方式推進交付金の採択を受けている。市の担当者によれば、今回の事業費の約半分は国費で賄う。

 前橋市の山本龍市長は10月15日の記者会見で、まちづくり分野にSIBを導入する意義を問われ「機関投資家など多様な立場から、当事者としてまちづくりに関わってもらえることではないか」と答えた。