事業スキーム図(資料:社会的投資推進財団)
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生活習慣改善率の評価結果:プログラム修了者と改善の有無についての内訳(資料:未来工学研究所)
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 神戸市が2017年7月に導入したソーシャル・インパクト・ボンド(SIB)による糖尿病性腎症などの重症化予防事業で、中間目標達成による初回の成果連動型支払いが実行された。SIBを推進する一般財団法人社会的投資推進財団(SIIF)が10月24日に発表した。

 SIBとは、行政機関が民間から調達した資金で事業者に公的サービスを委託し、成果に応じて対価を支払う仕組みだ。神戸市のSIB事業では、三井住友銀行、個人投資家、SIIFが資金を提供し、DPPヘルスパートナーズ(広島市、以下DPP)が事業を受託した。

 DPPに提供された資金は、事業費2620万円と成果評価費用など合計3115万円。中間目標の達成により、神戸市からDPPに2620万円が支払われ、全額が出資者に配当・償還された。2620万円の内訳は、業務履行に対する固定支払い分が1048万円、成果連動分が1572万円だ。

 DPPは国民健康保険の被保険者で糖尿病性腎症などによる医療機関受診が必要とみられる人や治療中断中の人を対象に、17年7月から18年3月まで保健指導を実施した。評価機関の公益財団法人未来工学研究所の報告書によれば、中間成果指標のうち、プログラム修了率は目標値80%に対し100%。事業の対象者105人全員(対象者109人のうち、疾病などにより除外対象になった4人を除く全員)が、約6カ月間の保健指導プログラムを修了した。

 また、食事、運動、セルフモニタリング、服薬の4分野における生活習慣改善率は、目標値75%に対し4分野平均で約95%だった。神戸市はこの事業を通じ、一人あたりの医療費が年間500万円にのぼる人工透析への移行予防を目指している。

 20年3月には腎機能低下抑制率を指標とした最終成果の評価を予定しており、その結果に応じて残りの委託料が支払われる。満額の場合の支払額は786万円(中間との合計3406万円)だ。

 報告書では、DPPのログラムの実施体制と提供プロセスについても評価を行っている。高く評価している点は、DPP社が2012年から広島県呉市と取り組んできた「糖尿病性腎症重症化予防事業」のノウハウが生かされていること、DPP社の担当者(看護師)の指導の質などについてだ。課題としては、受診勧奨の報告内容を挙げている。「勧奨」の定義や実施方法を明確して「どのような受診勧奨を行ったのか、後から誰が見ても理解・評価できるようにしておくことが必要だと考えられる」と報告書では指摘している。

 また、プログラム参加者へのアンケート調査から、参加者の約半数が生活習慣改善指導を受けたことによって自己効力感が上がった可能性があることなどが分かった。