大阪市は、東住吉区にある運動公園、長居公園と周辺施設の指定管理者の指定期間が2021年3月31日で満了するのに伴い、次期指定管理者として発動機や農機のメーカーとして知られるヤンマーホールディングスの(大阪市)100%子会社、わくわくパーククリエイト(大阪市)を代表とする企業グループ、「長居わくわくパークプロジェクトチーム」を事業予定者に選定した。

事業者による長居公園エントランス中央イメージ(資料:ヤンマーホールディングス)
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 グループを構成するのは、ヤンマーホールディングスとセイレイ興産、一般財団法人大阪スポーツみどり財団、タイムズ24、公益財団法人大阪ユースホステル協会の計5社。指定管理期間は2021年4月1日から2041年3月31日までの20年間だ。指定管理業務に加え、新たな魅力を創出するための事業(魅力向上事業)を一体的に行う。応募は同グループだけだった。

 長居公園は、大阪市高速電気軌道(大阪メトロ)御堂筋線の長居駅からすぐの場所にある大阪府内最大の運動公園だ。広場・緑地などの一般園地、サッカーワールドカップや世界陸上の会場になり、Jリーグセレッソ大阪のホームスタジアムとしても使われている長居陸上競技場を中心とするスポーツ施設、および長居植物園などで構成され、総面積は約65万7000m2に上る。

 一般園地部分には4カ所の遊具広場、噴水広場など各種広場が点在するほか、木々に囲まれた郷土の森とおもいでの森、ジョギングやマラソン大会にも利用される長距離走路などがあり、スポーツ施設としては、長居陸上競技場のほか、長居第2陸上競技場、長居運動場、長居庭球場、長居相撲場、大阪市立長居プールなどがある。長居植物園は、公園全体の約3分の1を占め、自然史博物館と緑化普及啓発の拠点となる花と緑と自然の情報センターが併設されている。これらに加え、地下には、路上駐車解消と都市活動の維持・向上を図るための市立長居公園地下駐車場(以下、市立駐車場)、長居陸上競技場内には、宿泊施設の大阪市立長居ユースホステルがある。

 市は、これら一般園地とスポーツ施設、植物園、市立駐車場、ユースホステルの管理・運営業務に新たな魅力向上事業を加え、長居公園の一体的なマネジメントを行う事業者を募集した。募集にあたり、市は管理・運営業務における成果指標を提示。公園の利用者満足度(85%以上)のほか、各施設については、過年度の実績に基づく年間利用率や年間利用者数(長居陸上競技場45%以上、長居植物園64万人以上、長居プール24万人以上など)の目標数値を挙げており、これらの達成に努める必要がある。

 また魅力向上事業は、ハード、ソフト両面の提案を求めており、長居植物園と一般園地部分への提案を必須とし、陸上競技場など既存のスポーツ施設への提案、複数の公園施設で一体的に活用する事業、ネーミングライツなどそのほかの提案は任意とした。

 事業者の収入は、公園の有料施設の利用料金、指定管理業務の一環で行う自主事業収入、指定管理業務に係る業務代行料、および魅力向上事業の収入となる。魅力向上事業については、所定の公園施設設置・管理許可使用料を市に支払う必要があり、市が事業者に支払う業務代行料から当該使用料を差し引く形になる。業務代行料については、市は公募時に基準額として7億1421万7000円を提示し、この金額以下で提案するよう求めた。また、事業年度の収支合計において、総収入から総支出を差し引いた利益が総収入の2.5%を上回った場合は、上回った金額の50%を市に還元する必要がある。

提案概要(資料提供:大阪市)
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 これらの募集内容を踏まえ、長居わくわくパークプロジェクトチームは、「スポーツと食のWaku! Waku! エクスペリエンス」をコンセプトに、飲食やスポーツアクティビティーを中心とした事業を提案した。一般園地は、Osaka Metro長居駅からの玄関口にあたる部分をエントランス広場としてレストラン・カフェなどを整備し、長居運動場の周辺を中央広場としてスポーツステーション・物販施設、スケボーパークなどを整備。公園中央にある郷土の森、おもいでの森の部分にはアスレチック、バーベキュー広場を、南広場には物販飲食施設・展示スペースとフットサルコートを整備する。ソフト面では、各種イベントや展示会の誘致のほか、地域と連携した防災減災イベント、ウェルネスプログラムなどを提案した。

 長居植物園に関しては、公園の北東口付近を北東ゲートとして整備するほか、水辺の散歩道、アグリファームなどを整備。ソフト面では、夜のデジタルアートプログラムやボランティア活動ブログラムなどを提案した。そのほかの主な提案としては、テニスコートスタンド席の一部木製化、相撲場の移設のほか、園内の他施設との連携、長居パークプラットフォームの構築、太陽光発電施設や水質浄化システム、バイオコンポスターの導入などが盛り込まれている。

 審査は、書類審査とヒアリングにより実施。有識者による選定会議は、選定理由として、食やアミューズメント、スポーツ施設など様々な提案により、公園の魅力向上が期待できること、財務面では、支障なく長期間の管理運営ができると見込まれることを挙げている。今後、市議会の議決を経て、同グループを指定管理者としての指定する予定だ。市は、緑の拠点であり、都市の中の貴重なオープンスペースである長居公園の魅力向上を図ることで、周辺地域および都市全体の活性化と、都市公園の機能と親和性の高いSDGs(持続可能な開発目標)の達成に貢献したい考えだ。