大日本印刷と未来シェア(北海道函館市)は2021年11月1日から12月28日まで、三重県大台町地域で「AIオンデマンド交通実証実験」を実施している。同実験では「交通事業者が定時定路線型からオンデマンド型へ運行方法を転換することによる収益性の変化」「スマートフォンを持たない高齢者等の利用者による、外出先でのリアルタイム予約システムの利用状況」を分析する。同町が総務省から交付された「過疎地域持続的発展支援事業」の一環だ。

SAVSの配車決定の流れ(出所:未来シェア)
SAVSの配車決定の流れ(出所:未来シェア)
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 AIオンデマンド交通とは、AI(人工知能)を利用して、高齢者をはじめとする利用者一人ひとりのニーズに対応するオンデマンド交通のこと。実験では、未来シェアのサービス「SAVS(Smart Access Vehicle Service)」が、利用者の乗車要求と乗り合い車両の運行状況をリアルタイムで計算し、最適な走行ルートとスケジュールを決定する。SAVSは、クラウド上のAIプラットフォームが、利用者のスマートフォンや車両に搭載されたデバイスなどと通信し、車両の走行ルートを瞬時に決定する配車サービスである。

AIオンデマンド交通の実証実験では、電話、DNPモビリティポート、スマホのいずれかで配車予約する(出所:大日本印刷)
AIオンデマンド交通の実証実験では、電話、DNPモビリティポート、スマホのいずれかで配車予約する(出所:大日本印刷)
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 実施期間中は、ドアツードア型の乗合タクシーを運行させたうえで、タクシーの利用頻度が高い「道の駅 奥伊勢おおだい」と報徳診療所の2カ所に「DNPモビリティポート」を設置して、電話やスマホ以外でもオンデマンド交通を簡単に予約できるようにする。DNPモビリティポートは大日本印刷が開発したもので、デジタルサイネージによる地域情報や公共交通の運行情報の表示、オンデマンド交通手段の呼び出しなどの機能を持つシステムである。

 大台町は、大台ケ原山など標高1000mを超える山々に囲まれた中山間地域にある。住民向けに定時定路線型の乗合タクシーや、スクールバスを活用した町営バスを運行しているが、近年、過疎化・高齢化の進展で利用者が減少するなかで、町では持続可能な地域交通の実現手段を検討している。また、大日本印刷は大台町を含めた近隣6町が推進する「三重広域連携スーパーシティ構想」の中で、DNPモビリティポートを利用した6町広域連携の相互周遊による移動活性化を計画しており、将来的には地域住民だけでなく、観光客の観光地周遊に向けて、近隣6町に「MaaS(Mobility as a Service)」の導入を図っていくとしている。