北九州市は、同市が所有する「旧JR九州本社ビル」活用の優先交渉権者に、香港の投資会社オデッセイアセットマネジメントリミテッド(以下、オデッセイ)を選んだ。同社は特別目的会社を設立し、レストランやカフェを併設した90~100室規模のホテルに改修する。事業費は30億円で、80人の雇用創出を見込む。完成は2021年夏の予定。

改修後のイメージ。左側の白い建物が旧JR九州本社ビル、右側がJR門司港駅(資料:北九州市)
[画像のクリックで拡大表示]

  旧JR九州本社ビルは、1937年建設の鉄骨鉄筋コンクリート造、地上6階地下1階建てで、延べ床面積は約5600m2。JR門司港駅に隣接し、日本遺産「関門ノスタルジック海峡」の構成文化財に認定されている。松田軍平の設計で三井物産門司支店として建設され、1953〜87年に国鉄門司鉄道管理局、2001年3月までJR九州北九州本社として使用された。05年に北九州市が土地・建物を取得したものの、これまでは一部にカフェや展示室が入居するなど暫定的な利用にとどまっていた。

旧JR九州本社ビルの外観(写真:萩原 詩子)
[画像のクリックで拡大表示]

 市は同ビルを観光促進に活用するため、19年8月に公募型プロポーザルを開始。応募3者のうち、事業費・雇用創出ともに最多の提案を行ったオデッセイが最高点を得た。同社は18年6月に、日本国内の特色ある宿泊施設に特化した投資ファンドを立ち上げ、約200億円を調達している。

 今後は、オデッセイが出資して特別目的会社「旧JR九州本社ビル開発会社(仮称)」を設立し、20年4月以降に市と賃貸借契約を結ぶ。提案賃料は公開されていないが、公募時の市の試算は年間約1300万円で、契約期間は10年間。ほか、市には固定資産税年額約800万円と法人住民税が入る。建物の改修費は事業者負担で、4割はオデッセイが確保し、残る6割を金融機関から調達する計画だ。運営は香港のワーフホテルズで、日本初出店となる。

 門司港レトロ地区には年間約200万人の観光客が訪れる。今年3月には重要文化財のJR門司港駅が約6年に及ぶ改修を終えて全面開業した。