神奈川県横須賀市は2019年12月9日から2020年2月24日まで、住民の移動手段となる「AI運行バス」の実証実験を実施する。AI運行バスは、複数の利用者からの配車予約(乗降ポイント、希望時刻)に基づいて、AI(人工知能)が最適なルートや配車をリアルタイムに決定するシステムで、NTTドコモが提供する。利用者はスマートフォン(スマホ)のアプリやコールセンターへの電話で配車予約することで、時刻表に縛られることなく移動できるようになる。

AI運行バスの運行エリアと35カ所の乗降ポイント(出所:横須賀市、NTTドコモ、京急の発表資料)
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実証実験の全体概要(出所:横須賀市、NTTドコモ、京急の発表資料)
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 実証実験では、定員5~9人の車両3台を京浜急行電鉄(以下、京急電鉄)グループの京急中央交通(横須賀市)が有料で運行する。運賃は大人300円、小学生150円、未就学児は無料。運行エリアは横須賀市逸見地区とその周辺で、横須賀市の吉倉町、西逸見町、東逸見町、逸見が丘、池上7丁目の住民がモニターとして利用できる。運行時間は午前8時から午後7時まで、当日の配車予約時間は午前7時から午後6時30分までとなる。

 乗降ポイントは医療施設、商業施設、健康増進施設を含む35カ所。公共交通とスムーズに接続するために京急線の駅や京急急行バス(横浜市)のバス停付近に乗降ポイントを設置するとともに、2020年2月上旬には交通系ICカードでの運賃支払いも可能とする。

 さらに、乗降ポイントとなる医療施設や商業施設のシステムとAI運行バスを連携させることで、住民の利便性向上、健康増進と社会保障費抑制、地域経済の活性化も目指す。

 例えば、国家公務員共済組合連合会横須賀共済病院の電子カルテシステムとAI運行バスを連携させて、病院予約の前日に通院者にリマインド通知すると同時にAI運行バスの予約を促して通院忘れを防止する。あるいは、健康的なレシピを提案する京急ストアのスマホアプリからAI運行バスのアプリを呼び出せるようにして、京急ストアFHaB湘南池上店に食材購入のために来店する予定の利用者数を把握したり、同店舗で開催される管理栄養士による健康イベント情報や来店時に使えるAI運行バス乗車クーポンをAI運行バスのスマホアプリに配信したりする。

 今回の実証実験は、横須賀市、京急電鉄、NTTドコモが2019年1月に締結した「スマートモビリティ等を活用したまちづくりに関する連携協定」の取り組みであると同時に、NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)の国家プロジェクト「次世代人工知能・ロボットの中核となるインテグレート技術開発」の取り組みの1つにも位置付けられている。

 実施主体は横須賀市、京急電鉄、NTTドコモの3者。横須賀市は地域住民や関係団体、施設などへの説明や調整、京急電鉄は京急グループ内の展開や推進、NTTドコモは実証実験全体のプロジェクト管理、AI運行バスのシステム提供や他システムとの連携、スマホ利用の促進と利用相談環境の整備を担当する。