長野県伊那市は2019年12月12日から2020年3月末まで、遠隔診療のためのビデオ通話機能や医療機器を搭載する専用車両「ヘルスケアモビリティ」をテスト運行する。伊那市が推進するモバイルクリニック実証事業において、ビデオ通話を使ったオンライン診療の有効性を検証する。

オンライン診療用車両「ヘルスケアモビリティ」(出所:フィリップス・ジャパン)
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ヘルスケアモビリティの車内(出所:フィリップス・ジャパン)
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ヘルスケアモビリティの機能(出所:フィリップス・ジャパン)
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 ヘルスケアモビリティは伊那市、MONET Technologies(東京都港区)、フィリップス・ジャパン(東京都港区)との協業によって完成した。伊那市は、MONETとは次世代モビリティサービスに関する業務連携協定、フィリップス・ジャパンとはヘルスケア領域におけるモビリティ事業に関する業務連携協定を締結している。

 MONETは、次世代モビリティサービス基盤を構築・運用するために設立されたソフトバンク、トヨタ自動車などの共同出資会社。ヘルスケアモビリティは、MONETが運用する配車プラットフォームと連携しており、効率的なルートで患者の自宅などを訪問できるという(関連記事)。

 ヘルスケアモビリティは、患者と医師が合意したオンライン診療のスケジュールに従って、看護師がスマートフォンのアプリを使って配車予約する。オンライン診療当日は、看護師がヘルスケアモビリティに搭乗。遠隔地の医師がビデオ通話を使って患者を診察し、現地の看護師が医師からの指示に従って患者の検査や必要な処置を行う。そのために、ヘルスケアモビリティは、心電図モニター、血糖値や血圧の測定器、脈拍数と動脈血液の酸素飽和度を測定するパルスオキシメーター、AED(自動体外式除細動器)などの医療機器を搭載する。

 さらに、医療従事者が情報を共有するためにインターネットイニシアティブのクラウドシステム「IIJ電子連絡帳サービス」を採用しており、車内に設置したパソコンから患者の電子カルテを閲覧したり、訪問記録を入力・管理したりできる。

 実証実験のテスト運行では、まず、伊那市、MONET、フィリップス・ジャパンの関係者だけで最適な運用方法を検証し、運用や安全性の確認が取れた後、近隣の医療従事者や慢性疾患を持つ患者の協力を得てオンライン診療の実証を行う。オンラインの服薬指導についても、2019年11月27日の参院本会議で可決・成立した改正医薬品医療機器法(薬機法)の施行を待って実施する。