沖縄県浦添市は、2019年8月から20年1月にかけて、厚生労働省のPFS(Pay for Success:成果連動型民間委託契約方式)のモデル事業として実施した大腸がん検診受診勧奨事業で、受診者数前年度比40%増の成果を挙げたと発表した。

 この事業は、浦添市とケイスリー(東京都渋谷区)、アクリート(東京都千代田区)が連携協定を結び、ケイスリーが厚生労働省の「令和元年度保健福祉分野における民間活力を活用した社会的事業の開発・普及のための環境整備事業」を受託して実施したもの。人口約11万4000人の浦添市民のうち、40歳以上75歳未満の国民健康保険加入者(約1万7000人)を対象に、大腸がん検診の受診勧奨を行った。

 ケイスリーとアクリートは、行動経済学(ナッジ)を活用したショートメッセージによる受診勧奨手法を開発。対象者のうち浦添市が携帯番号を取得できた約6500人にショートメッセージを送信した。送信は年間12回で、前半の反応を検証し、後半の改善に結び付けている。加えて、約3900人に対し、大腸がん検査キットを自宅に直接送付した。

ショートメッセージの文面例(資料:厚生労働省)
ショートメッセージの文面例(資料:厚生労働省)
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事業の推進体制(資料:厚生労働省)
事業の推進体制(資料:厚生労働省)
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 事業の結果、浦添市の大腸がん検診受診者数は、2018年度の2632人から2019年度の3661人と、前年度から1029人(約40%)増加した。PFS事業の成果指標とした17年度比500人増の目標を超え、満額の950万円(最低支払い額450万円、成果連動分500万円)が支払われている。

 勧奨を行った人の受診率は30.2%で、携帯番号未登録などで勧奨が行われなかった人の受診率14.7%の約2倍となった。また、「過去6年間受診歴なし」の未受診者で比較すると、受診率は約6.5倍に増加したことが分かった。

勧奨を行った人の大腸がん検診受診率は勧奨が行われなかった人の約2倍。未受診者で比較すると受診率は約6.5倍に(資料:ケイスリー)
勧奨を行った人の大腸がん検診受診率は勧奨が行われなかった人の約2倍。未受診者で比較すると受診率は約6.5倍に(資料:ケイスリー)
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 この結果を受け、浦添市は20年度から3年の予定で独自のPFS事業を実施している。特定健診の受診勧奨を行うもので、予算総額は900万円(うち最低支払額450万円)。18年度の特定健診受診率34.8%から2年間の受診勧奨で3ポイント以上増加(37.8%以上)すると、3年目に成果連動額450万円が支払われる。事業は引き続きケイスリーとアクリートが手掛ける。