優先交渉権者に選ばれた学校法人みどり学園が提案する施設配置(資料:学校法人みどり学園の提案概要書から引用)
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旧高倉台西小学校活用事業の位置図(資料:堺市)
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 堺市は12月3日、統廃合のため2015年3月に閉校となった旧高倉台西小学校の跡地活用事業の優先交渉権者を、市内などで大阪健康福祉短期大学を運営する学校法人みどり学園に決定した。市が事業用定期借地権を設定して跡地を貸し付ける事業形式で、みどり学園は短期大学の一部を跡地に移転する。

 旧高倉西小学校は、泉北ニュータウンの一角にある。泉北高速鉄道の泉ケ丘駅から東方向に約700mの場所で、土地面積は2万2464m2だ。街開きから50年を経過した泉北ニュータウンの再生を目指し、2011年に策定・2015年に改訂した「泉ケ丘駅前地域活性化ビジョン」では、「教育、交流、防災機能等の将来ニーズに対応する拠点」と位置づけられたエリアだ。公募は、教育機関を誘致して、その活力を活かして地域の活性化を図ることを目的に、対象を学校法人に限定して実施した。応募はみどり学園のみで、8月に企画提案書類を受け付け、学識経験者などで構成する事業者選定委員会での審査を経て、12月に優先交渉権者に決定した。

 みどり学園が運営する大阪健康福祉短期大学は、現在、堺市内に子ども福祉学科と介護福祉学科の校舎を、島根県松江市に保育・幼児教育学科の校舎を設置している。今回の提案は、公募の対象地に、同短期大学の主に介護福祉学科の機能を移転し、同時に外国人留学生を受け入れる課程を新たに開設するというものだ。

 提案によると、名称は「シェアタウン泉ケ丘ネクスト(仮称)」とし、短期大学を核に、以下の3つの機能を持つ拠点として整備する。

  • ・少子、高齢化など地域課題の解決につながる教育・研究活動の拠点
  • ・コミュニティの中心だった小学校跡地にふさわしい地域交流の拠点
  • ・災害時の指定避難所として地域防災機能の拠点

 具体的には、校舎や学生寮のほか、社会課題の解決や学生の実習・実践の場として、診療所、グループホーム、サービス付き高齢者向け住宅といった医療施設と社会福祉施設も併設する。地域交流の拠点としては、短期大学の食堂や図書館を地域に開かれた施設として開放するほか、校舎も1階を多目的スペースやアンテナショップなどとして地域の住民も使えるようにする。市民公開講座や子育て広場、子ども食堂といった地域交流の活動も展開し、学生、教職員、地域住民の交流の場、また外国人留学生を受け入れるため、国際交流の場としても活用していく。このほか、地域の子どもたちがスポーツを楽しめる「わいわい広場」、イベントに活用して多世代交流の場とする「お祭り広場」などを設ける。建物は、低層木造で建設し、周辺環境との一体性をもたせる。

 審査では、(1)教育研究の内容なども含めた事業内容と運営体制、(2)地域との協働、(3)施設利用方針、(4)事業主体の信用や資金調達計画といった事業継続性、(5)事業開始までの工程の5つの区分について、80点満点で評価した。結果は5つの区分ともに30%台の得点率で、合計点は29.40点だった。これに、土地の賃貸料を20点満点で評価した点数が加わる。市が提示した基準単価、1m2あたり月額149円に対して、みどり学園は同額を提案し、条件を満たしたため、20点が加わり、総合得点は100点満点中49.40点となった。

 総評として、選定委員会は、介護福祉士養成を中心とする教育研究内容は、高齢化が進展する社会の必要に応えるものとして評価した。このほか、周辺環境に配慮した低層の木造建築や、地域に開かれた施設と市民公開講座などの活動も、地域に貢献するものとして評価し、選定に至った。一方で福祉施設の併設については、跡地活用事業の目的を踏まえ、学校教育施設としての実質が失われないように、教育研究事業との間の収支や人員配備の比重など事業運営に留意を求める意見も付記された。