水門・防潮鉄扉の遠隔操作・遠隔監視システムの整備エリア(資料:神戸市)
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システム構成図(資料:NTT西日本)
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新システム対応の開閉検知デバイスを搭載した防潮鉄扉(資料:NTT西日本)
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 神戸市は、神戸港沿いの水門・防潮鉄扉を対象に、タブレットを活用した遠隔操作・遠隔監視システムを2019年度から導入する。迅速な津波対策を可能とする狙いで、「水門・陸閘(りっこう)の遠隔監視および遠隔制御に関するシステム整備」の事業者としてNTT西日本グループを採択した。南海トラフ巨大地震による津波(1000年に一度のレベル2津波)対策の1つだ。  同グループの提案は、低消費電力で広範囲をカバーできるLPWA(Low Power Wide Area:省電力広域無線)の規格の1つである「LoRaWAN」や専用線サービスを活用して、水門・防潮鉄扉の遠隔操作システムと遠隔監視システムを構築するというもの。2019年度から三宮南地区の水門・防潮鉄扉を対象に先行して導入を開始し、その後神戸市内の各水門・防潮鉄扉へ展開していく予定だ。

 神戸市は、減災を目標としたハード対策として防潮施設の「ねばり強い構造への補強」を目指している。津波の浸水被害を最小限に食い止めるためには、神戸港沿いの水門や防潮鉄扉を迅速かつ確実に閉鎖する必要があるが、現在は、現地で開閉状態を確認するなどの作業が必要になり、従事者の安全確保や操作の省力化などが課題だった。今回の新システム導入により、タブレットやパソコンなどから水門・防潮鉄扉の遠隔操作・監視が可能になるため、従事者の安全を確保しつつ開閉などの制御ができるようになる。

 今回導入するシステムのうち、まず遠隔操作システムでは、遠隔地からタブレットなどを操作して水門・鉄扉を「遠隔閉鎖」でき、J-ALERTと連携した「自動閉鎖」もできる。これにより、大規模災害時に職員が庁舎に移動できない事態などでも迅速かつ安全に閉鎖可能になる。2019年度末までに、先行整備エリアとなる三宮南地区(15基)の整備を完了し、2024年度末までに全域(59基)で整備を完了する予定だ。また遠隔監視システムでは、「LoRaWAN」を活用した無線通信により、遠隔地からタブレットなどを利用してセンサーを取り付けた鉄扉の「開閉状態を確認」することが可能になる。これは2020年度末までに、全域(167基)で整備完了予定。

 全国の水門・陸閘などのうち、災害時に現場で操作を伴う施設でこれらの措置がなされていない施設は、約2万基(2015年3月末時点)あるという。また、東日本大震災時に死亡・行方不明となった消防団員のうち、59人(30%)が水門閉鎖等に関係していたと見られている(いすれも国土交通省 第1回「水門・陸閘等の安全かつ適切な管理運用の促進に関する検討委員会」資料より)。NTT西日本では、このシステムを各地で提案していく考えだ。