阿蘇くじゅう、霧島錦江湾、慶良間諸島


●阿蘇くじゅう国立公園

 阿蘇くじゅう国立公園だけは、環境省阿蘇くじゅう国立公園管理事務所の国立公園利用企画官である森田勇治氏が自らナビゲーター役になってツアー仕立てで同公園の魅力をシンポジウム参加者に紹介していくという、異色のスタイルを取った。

 まず紹介したのは、大分空港から別府を経由し公園に向かうときの入り口にあたる伽藍岳である。その先、由布岳の麓にあるのが由布院温泉。阿蘇の黒川温泉と並ぶ人気上位の温泉である。

 さらに、九重連山の麓に広がるタデ原湿原(ラムサール条約登録地)、阿蘇山などの特徴を紹介。である。阿蘇では、熱気球、ハンググライダー、ヘリコプターでの火山見学など、「ワイルドなアクティビティーが盛ん」と森田氏。1周100㎞の外輪山ではロードレースの開催も検討されているという。

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取り組みの概要(当日の発表資料より)

 満喫プロジェクトで定めた公園のコンセプトは「復興の大地~草原のかほり、火山の呼吸。人が継ぎ、風と遊ぶ感動の大地~」。数値目標としては、訪日外国人利用者を2015年68万人から2020年140万人に拡大することを掲げる。


●霧島錦江湾国立公園

 霧島錦江湾国立公園は、霧島、桜島・錦江湾、指宿という大きく3つの地域に分かれる。それぞれ、火山景観を楽しめる。宮崎県と鹿児島県にまたがり、関係市町は8市3町に及ぶ。コンセプトは、「多様な火山とその恵み、壮大な歴史と神話に彩られた霧島・錦江湾」。9割以上を占めるアジアを中心に誘客するとともに欧米豪の市場も開拓し、2015年に7.1万人の訪日外国人利用者を2020年には20万人に拡大することを目指す。

 取り組みの1つは、えびの高原への上質な宿泊施設の誘致と周辺でのアクティビティーの開発だ。施設誘致に関しては、ホテル跡地やピクニック広場に高級ホテルやグランピング施設を誘致することを検討中。周辺アクティビティーと一体的に地域の魅力アップを図る。環境省九州地方環境事務所国立公園保護管理企画官の川瀬翼氏は「公募を前提に、2017年度内をめどに官民対話に入りたい」と明かす。

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2次交通の改善を目指す(当日の発表スライドより)

 大きく3つの地域に分かれていることもあって、空港や駅などの拠点から観光地までの2次交通が課題。霧島地域南部や本土最南端の佐多地域では、地元自治体が観光周遊バスを試行的に運行し対応している。


●慶良間諸島国立公園

 沖縄県の慶良間諸島国立公園は本島から高速船で1時間かからない距離。コンセプトには、「美ら海慶良間 リトリート・海と島がつくるケラマブルーの世界」を掲げる。「リトリート」とは隠れ家。良質な旅を提供し、2015年に22.4万人の利用者を2020年に25.3万人に季節間の平準化を図りながら拡大していくことを目標にすえる。

 世界水準の国立公園を目指す中で、慶良間諸島の阿嘉島では2つの施設整備に先行して取り組む。1つは、「さんごゆんたく館」と呼ぶ情報拠点施設の整備。島の玄関口で2018年3月オープンを目指す。さんごを守る体験プログラムの提供も想定している。もう1つは、ケラマブルーを一望できる海沿いにある「ニシバマテラス」の再整備。海に入らない利用者にも、ここでケラマブルーを満喫してもらいたいという。

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2つの施設整備に取り組む(当日の発表スライドより)

 さらに地元の座間味村からは村長の宮里哲氏が登壇し、取り組みテーマを挙げた。1つは、消費額の引き上げだ。自然環境を活用した引き上げ策に着目し、具体化を図っている。もう1つは、10月から6月までの利用者を増やすこと。この期間に楽しめるノルディックウオーキングや星空をテーマとするアクティビティーを開発中だ。

 宮里氏は「3次産業の従事者が92.4%を占めるだけに、利用者の確保に向けて村全体で盛り上げることがやりやすい地域だ。中国語やスペイン語を話せる人を観光協会で雇用するなど、村を挙げて取り組んでいる」と強調した。