環境省と内閣府がそれぞれ役立つ情報を提供

 では、自治体はSDGsにどのように取り組めばよいだろうか。新谷氏は、環境省が提供する「持続可能な開発目標(SDGs)活用ガイド」(以下、“環境省版”)、そして、内閣府が提供する「地方創生に向けたSDGsの推進について」をはじめとする各種関連資料(以下、“内閣府版”)を活用することを推奨。「自治体は、“環境省版”と内閣府版”をうまく組み合わせることによって、地域課題や行政課題に対応したSDGsをより効果的に推進することができる。ぜひ両方を活用してほしい」と新谷氏は語った。

地元企業のSDGs推進支援に役立つ“環境省版”

 “環境省版”の特徴を新谷氏は3つ挙げた。「①民間企業(特に中小企業)がSDGsに取り組むためのガイドとなっている」「②中小企業による取り組みを啓蒙するために、SDGsの説明だけではなく、経営上のメリットが説かれている」「③取り組み手順や事例がわかりやすく説明されているが、マッピングやラベリングに陥りやすい危険性もある」である。

“環境省版”SDGsの3つの特徴(出所:地域未来づくり研究所)
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 民間企業向けのガイドとして構成されたのは、SDGsの達成には民間セクターとの連携が重要であるためだと新谷氏は解説する。具体的には、中小企業を含めた民間企業がSDGsの達成に取り組むモチベーションを上げるように、企業がSDGsに取り組む経営上のメリットを説いている。「経済産業省でもなく、中小企業庁でもなく、環境省が経営上のメリットについて解説する点が興味深い」と新谷氏は講演で指摘した。

 中小企業がSDGsの推進に取り組む経営上のメリットとしては、「企業イメージの向上」「社会の課題への対応」「生存戦略になる」「新たな事業機会の創出」の4つが挙げられている。例えば、「企業イメージの向上」によって、多様性に富んだ人材確保につながるという経営上のメリットがあるとする。

 このように、“環境省版”は直接、自治体に向けたものではないが、自治体が地元企業のSDGs推進を支援する際に役立つ。また、“環境省版”では中小企業の視点に立って、SDGsに取り組む際の課題やメリットを示すだけでなく、「PDCAサイクルによるSDGsの取り組み手順」といった進め方についても踏み込んで解説している。

 一方、留意点としては、SDGsにおける17の目標や169のターゲットを企業の活動に当てはめるマッピング、ラベリングだけに陥りやすいことが挙げられるという。“環境省版”には、主な企業活動をSDGsの目標に紐付ける早見表が載っている。便利だが、「SDGsのラベルを貼ってから、SDGsの達成に向けた活動をもっとよくすることが重要だ」と新谷氏は指摘した。