福岡市の適正服薬推進事業、見えないところにも民間の創意

 福岡市は、2019~2021年度にかけて、PFSを導入した適正服薬推進事業を実施している。国民健康保険の被保険者のうち、服薬リスクがある人に服薬情報に関する通知書を送付し、医療機関や薬局への相談を促すことで服薬リスクの解消を目指す。重複服薬(複数の医療機関で処方された同種の薬の服用)、多剤投与、併用禁忌(飲み合わせてはいけない薬の服用)などの服薬リスクを抱える約8000人が対象だ。3年間に4回、通知書を送って各回で効果を測定する。実施事業者はヘルススキャン、中間支援組織はケイスリーで、第三者評価を九州大学が行う。総事業費は3年間で最大5760万円。

福岡市 保健福祉局生活福祉部保険医療課の小陳直子係長(写真:赤坂 麻実)

 市ではPFS導入に向けたデータを収集するため、2018年度にモデル事業を実施した。重複、併用禁忌の服薬者2000人を抽出し、そのうち1000人に通知書を送付。未送付の1000人と比較し、効果を分析した。この結果、送付群と未送付群で改善割合に20~30パーセントポイント程度の差が出たほか、医薬品にかかる1カ月の医療費が1人当たり6400円ほど減少したという。

■PFS導入に向けたモデル事業でデータを収集
(資料:福岡市)
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 モデル事業の結果を受けて、本事業では重複服薬と併用禁忌それぞれの改善割合、および医薬品にかかる医療費の削減割合を成果指標とした。福岡市保健福祉局生活福祉部保険医療課の小陳直子係長は、「市ではこれまでにもジェネリック医薬品に関する通知などを行ってきたが、どれほどの効果があったのか、確かめる術がなかった。今回は成果指標を設定して効果が明確になったことが意義深い。極端にいえば、仮にこの方法で効果が上がらないとしても、効果が上がらないことが分かるのは収穫だ」と話す。

 通知書を送付するシンプルな事業にも、民間事業者ならではの創意工夫が発揮されているという。「この事業は、通知書を受け取った人の自主的な改善に加えて、通知書を持った人が医療機関を訪ねた際に、医療機関側が処方を見直すかどうかが成否のカギを握る。医師会や薬剤師会への説明資料は、事業者と協力し合ってつくった。実際の説明は市職員が担当するが、関係者に理解を得るためのポイント整理などでサポートを受けた」(同)。