昭和40~50年代に供給された郊外住宅団地(ニュータウン)で、自動運転サービスの実証実験が相次いでいる。

[画像のクリックで拡大表示]
神奈川中央交通とSBドライブによる実証実験車両(発表資料より)

  国土交通省と内閣府は現在、多摩ニュータウン(東京都多摩市)の諏訪・永山団地エリアと、兵庫県三木市の緑ヶ丘ネオポリス・松ヶ丘ネオポリスの2カ所で自動運転の実証実験を行っている。多摩ニュータウンでは、神奈川中央交通とSBドライブも豊ヶ丘団地エリアで自動運転バスのサービス実証を実施中だ。こちらは東京都の「自動運転技術を活用したビジネスモデル構築に関するプロジェクト」に選定されたプロジェクトだ。

  入居開始から半世紀近くが経過した各地のニュータウンでは、今、人口減少が著しく進み、公共交通の維持が難しい地域が出てきている。公共交通が維持できないと、特に高齢者の移動手段の確保が大きな課題となる。自動運転の導入で運転手が不要になれば、人件費軽減によるコスト削減、ドライバー不足の解消にもつながるため、持続可能な公共交通のモデルが描けると期待されている。

  3カ所のニュータウンで行われている実証実験では、技術面での制約や課題、事業性、サービス利用者や近隣住民の社会受容性などの検証をそれぞれ行っている。概要は以下の通り。

多摩ニュータウン(諏訪団地・永山団地)

▼事業主体:国土交通省、内閣府 ▼実施主体:日本総合研究所、京王電鉄バス ▼実証期間:2月18日~24日 ▼走行延長:1.4km

  あらかじめ設定されたルート上の決められたポイント間を自動運転車両が走行する。電話およびウェブサイトを通じて団地内の利用者から予約があった場合のみ、「自宅からバス停まで」といった短距離を移動する。実証実験で使用する車両はトヨタアルファード(定員4人)。自動運転レベル2の技術で、運転手が必要に応じて手動に切り替えて走行する。

実証実験の運行ルート(発表資料より)
[画像のクリックで拡大表示]
将来のビジネスモデルのイメージ(発表資料より)
[画像のクリックで拡大表示]

  こうしたサービスを実装する場合、移動サービスだけでの収益確保は難しい。そこで新たな収益源として、地域の商店街や自治体などに対して利用者の情報を提供し、その対価として運営のサポートを受けることなどを想定。関連して今回は、車内で地域商店のクーポンを配布し、販促効果の測定を行う。

緑ヶ丘ネオポリス・松ヶ丘ネオポリス

▼事業主体:国土交通省、内閣府 ▼実施主体:日本工営、大和ハウス工業 ▼実証期間:2月16日~22日 ▼走行延長:2.6km

  利用者の自宅と、公民館、自治会館、スーパーマーケットとの間を行き来できるサービスを実施する。自宅からは約1km~2km程度(ワンマイル)の短距離の移動を想定している。

  利用者は実証実験の実施ルート沿線住民に限定。電話またはウェブアプリで日時と出発地/目的地を事前予約する。車両はミニバンタイプのトヨタ・エスティマで、定員は2人。自動運転レベル2で走行する。自動運転車両の前方には先導車両が走行し、モニターの自宅へのアプローチや緊急時は人が運転する。

[画像のクリックで拡大表示]
実証実験の運行ルート(左)と将来のビジネスモデルのイメージ(上)(発表資料より)
[画像のクリックで拡大表示]

  将来は、マイカーやタクシーより安価でバスより利便性が高い移動手段を目指す。市が設立した三木市生涯活躍のまち推進機構の運営により、地域内で自動運転車両をシェアし、一定のエリア内で利用するビジネスモデルを検討している。

多摩ニュータウン(豊ヶ丘エリア)

▼事業主体/実施主体:神奈川中央交通、SBドライブ ▼実証期間:2月13日~22日(土日を除く) ▼走行延長:約1.4km

  団地内の豊ヶ丘四丁目バス停から、近隣のスーパーSantoku(さんとく)貝取店までの約1.4キロを結ぶ自動運転バスを、9時30分~16時30分の間で30分に1本程度、毎日走行させる(土日を除く)。利用料は無料で、事前の乗車予約は不要だ。使用する車両は日野自動車製の小型バス「ポンチョ」をベースとし、定員は8人。自動運転レベル2で、一部の動作や緊急時には運転手が介入する。

[画像のクリックで拡大表示]
実証実験の運行ルート(発表資料より)

  技術面では、AIを活用し乗客の姿勢を検知・判断して転倒を防止する技術の活用や、遠隔運行システムを用いて社内外の状態を監視するシステムを導入する。車内設置のディスプレーによる情報発信も行う。