北海道大樹町とSPACE COTAN(スペースコタン、大樹町)は、運営する宇宙港「北海道スペースポート」の事業資金として、2021年度に68社から6億2350万円の「企業版ふるさと納税」を得たと発表した。21年度目標の5億円を達成した。

北海道スペースポートの将来イメージ図(資料:大樹町、SPACE COTAN)
北海道スペースポートの将来イメージ図(資料:大樹町、SPACE COTAN)
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 SPACE COTANは大樹町と道内企業により設立された。北海道スペースポートの運用は2021年4月に本格的にスタート。現在、ロケット射場や長さ1000mの滑走路がある。

 今後、人工衛星用のロケット射場「Launch Complex-1」(LC-1)を2022年度に着工して、2023年度に完成させる予定。自力滑走と離着陸ができる宇宙船「スペースプレーン」を実験できるように、滑走路の300m延伸も2023年度に完了させる。さらに、人工衛星用のロケット射場「Launch Complex-2」(LC-2)を2025年度に完成させる予定だ。

 寄附は引き続き募集する。寄付金の目標は25億円。集まった寄附金と同額の地方創生拠点整備交付金を国に申請して、計50億円を集める計画としている。LC-1と滑走路延伸などの建設に10億円、LC-2の建設に40億円を充てる予定だ。

 宇宙港の種類には、ロケットを垂直方向に打ち上げる「垂直型」と水平方向に打ち上げる「水平型」がある。SPACE COTANによると、北海道スペースポートは、国内唯一の「水平型」「垂直型」両方の打ち上げに対応した宇宙港。あらゆる宇宙ビジネスの事業者が使える、アジア初の民間に開かれた商業宇宙港でもあるという。

 加えて、世界的にも珍しい、東にも南にもロケットを打ち上げられる立地や、晴天率の高さ、施設を拡張できる広大な敷地、空港や港からの良好なアクセスといった優位性がある。これらを生かして、国内だけでなく、海外のロケット打ち上げ需要も取り込む方針だ。

 大樹町に新たな射場を整備した場合の北海道内の経済波及効果は年間267億円で、約2300人の雇用を創出し、観光客は約17万人増えるという試算を、北海道経済連合会と日本政策投資銀行が2017年5月に発表している。実際、北海道スペースポートの周辺には、民間ロケット会社の本社と室蘭工業大学のサテライトオフィスが開設され、大樹町にはこの数年間でドラッグストアや飲食店の開業が相次いでいる。

 国も後押しする。政府が2021年6月に発表した「成長戦略実行計画」は、「宇宙港の整備などアジアにおける宇宙ビジネスの中核拠点化を目指す」と明記。内閣府の「宇宙産業ビジョン2030」は、民間小型ロケット打ち上げのための射場整備を示している。

 世界でも宇宙は成長分野として注目されている。モルガン・スタンレーの「Space: Investing in the Final Frontier」によると、世界の宇宙産業市場は2040年までに1兆ドル以上に増える可能性がある。既に衛星通信サービスやリモートセンシングによる地球観測などの分野で、小型・超小型人工衛星の需要が急増している。一方で、人工衛星を運ぶロケットは不足。ロケットやスペースプレーンの打ち上げには射場が不可欠なため、世界各地で宇宙港の建設が進んでいる。