補足:フランスの水道事業について

 まず前提知識として、フランス・パリ市による水道事業の「再公営化」を考えるうえで、同国の水道事業を概観しておこう。フランスにおいては官民連携の土壌がかねてからあり、19世紀以降、水道はじめ鉄道分野などでも運営の民間委託が実施されてきた。水道事業においても、1853年にリヨン市がジェネラル・デ・ゾー社(現在の世界的“水メジャー”の1社、ヴェオリア)に委託したことが始まりと言われる。フランスは自治体の数が約3万6000と多く行政基盤がぜい弱のため、必然的に民間委託の力を借りてきたという背景がある。2013年の段階で、約66%の地方自治体(人口ベース)が民間委託を活用している。

(資料:日本政策投資銀行、各社ホームページを基に作成、ヴェオリア、スエズは2015会計年度、サウルは2011会計年度)
(資料:日本政策投資銀行、各社ホームページを基に作成、ヴェオリア、スエズは2015会計年度、サウルは2011会計年度)
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 パリ市においても、水道事業で100年以上にわたり、ヴェオリアやスエズといった民間企業に委託がされてきたが、2010年1月に、水道事業の再公営化を公約に掲げていたデラノエ市長の下で再公営化(実際には「公社化」)された。

(資料:日本政策投資銀行、【仏の人口・コミューン数】<a href="http://www.mlit.go.jp/kokudokeikaku/international/spw/" target="_blank">国土交通省国土政策局ホームページ「各国の国土政策の概要」</a>、【市町村数】<a href="http://www.soumu.go.jp/kouiki/kouiki.html" target="_blank">総務省「広域行政・市町村合併」</a>、 BIPE “Public water supply and sanitation services in France”〔Fifth edition March 2012〕pp.60‐61を参考に作成)
(資料:日本政策投資銀行、【仏の人口・コミューン数】国土交通省国土政策局ホームページ「各国の国土政策の概要」、【市町村数】総務省「広域行政・市町村合併」、 BIPE “Public water supply and sanitation services in France”〔Fifth edition March 2012〕pp.60‐61を参考に作成)
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(資料:内閣府・日本政策投資銀行・日経研「フランス・英国の水道分野における官民連携制度と事例の最新動向について」2016年8月)
(資料:内閣府・日本政策投資銀行・日経研「フランス・英国の水道分野における官民連携制度と事例の最新動向について」2016年8月)
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