常総市:ポータルサイトで市内外の住民と災害情報を共有

茨城県常総市の神達岳志市長(写真:柏崎吉一)
茨城県常総市の神達岳志市長(写真:柏崎吉一)

 常総市では、2015年9月の集中豪雨(平成27年9月関東・東北豪雨)で鬼怒川の堤防が決壊し、市域の約3分の1が浸水した。災害対策本部があった市役所庁舎も浸水。情報の収集や発信が滞った。2016年8月に就任した神達岳志市長は、豪雨の当時は茨城県議会議員として被災地の支援や情報収集・発信にあたった。

 この時の教訓から、常総市は2018年4月に「常総市防災ポータルサイト」と「常総市防災アプリ」の運用を開始した。 「常総市防災ポータルサイト」では、災害情報の提供者が「常総市への連絡」欄から、撮影した写真や地名、被災状況などを常総市役所へ連絡できるようになっている。集約された情報の閲覧も可能であり、市内外の住民との間で災害情報を共有できるようにした。

茨城県常総市の神達岳志市長(写真:柏崎吉一)
茨城県常総市の神達岳志市長(写真:柏崎吉一)

 防災アプリには、防災行政無線と連動して、市民のスマートフォンに防災情報をプッシュ配信する機能がある。併せて、防災無線の放送内容をテレビ画面に自動表示する機器も開発した。テレビへの表示は、屋内で防災行政無線を聞くことができる戸別受信機の機能を拡張したものだ。一人暮らしの高齢者宅や要配慮者利用施設である市内の特別養護老人ホームなどに設置している。総務省の認可を得た実証事業の一環だ。

 「常総市の人口約6万3000人の1割弱は外国人で、約40カ国の方々が居住している」(神達市長)。そのため、防災アプリやテレビ画面の文字表示は、日本語だけでなく、英語、ポルトガル語、スペイン語に対応させた。さらに、LINEと協定を結び、普段からアプリとして使えて、災害時には市から情報をプッシュ配信できる仕組みの開発を検討しているという。 神達市長は、町内会による情報共有の取り組みも紹介した。

 常総市の根新田(ねしんでん)町内会では、2015年9月の関東・東北豪雨の際に、携帯電話のショートメール(SMS)を活用して住民同士が情報共有を行い、多くの住民が浸水前に避難できた。地区のほとんどが浸水したにもかかわらず、市内の他の地域と比べて救助されずに済んだ人の割合は非常に高かったという。平時から町内会の連絡をSMSでやりとりしていた住民は、災害時にも自発的にSMSを活用してコミュニケーションを取っていたことが理由だ。

 根新田町内会では、その後も防災活動を強化し、2017年には台風が接近する3日ほど前から自分や家族の防災行動を時系列で整理する「マイ・タイムライン」を導入し、防災意識を高めている。国土交通省と常総市も支援し、ワークショップを開催した。町内会で自主防災基本計画を作成し、地区の近くを流れる河川を24時間監視するライブカメラを設置して町内会のホームページで見られるようにしている。

 「災害時に命の7~8割は自助・共助によって守られると言われる。言い換えると、公助にできることは2割ほど。限界があることを知ってほしい」――。神達市長はこう呼びかけた。