2020年11月25日に始まった「歩行者利便増進道路(以下、通称:ほこみち)指定制度」。道路の占用許可基準を柔軟にし、テーブルやベンチなどを置きやすくして、通りに賑わいを生むことを目的とするものだ。その全国初の指定が、21年2月12日、大阪・神戸・姫路の3市で行われた。制度の内容と各地の事例を紹介する。

「ほこみち」で指定された特例区域のイメージ(資料:国土交通省)
「ほこみち」で指定された特例区域のイメージ(資料:国土交通省)
[画像のクリックで拡大表示]

 ほこみち指定制度は、20年5月27日公布の「道路法等の一部を改正する法律」に基いて創設された。国や都道府県、市町村などの道路管理者が、区間を定めて「ほこみち」を指定し、歩行者が安全に、快適に通行でき、ゆっくりと滞留できる道路を整備する。

 制度の概要はこうだ。ほこみちに指定された道路には、新しい道路構造基準が適用される。この基準を満たした道路には、道路管理者が「利便増進誘導区域(以下、特例区域)」を指定できる。特例区域内では、道路の占用許可基準が緩和されるほか、通常5年の占用期間が最長20年まで可能になる(公募占用の場合)。また、占用者が道路の維持管理に協力することを条件に、占用料が10分の1に減額される。なお、「道路の維持管理に協力」の内容について国交省は、「占用区域以外の除草、清掃、植樹の剪定又は道路施設への電力供給など」と例示している。

ほこみちに指定された道路に適用される新しい道路構造基準(資料:国土交通省)
ほこみちに指定された道路に適用される新しい道路構造基準(資料:国土交通省)
[画像のクリックで拡大表示]

コロナ禍で注目された路上営業を今後も可能に

 従来の道路占用制度には「無余地性の基準」があり、道路以外に置く余地がないと認められない限り、什器などの占用許可は認められない。コロナ禍で「新しい生活様式」を模索する中、国土交通省は20年6月5日にこの「無余地性の基準」を緩和する緊急措置(以下、コロナ占用特例)を導入した。主に飲食店の支援を目的に、沿道の店舗が路上にテーブルやベンチを出して営業できるようにするものだ。当初は11月30日が期限だったが、9月1日時点の調査で約420自治体が特例を導入、実施は約240カ所に上り、継続の要望が強かったため、期限を3月31日まで延長している(編集部追記:3月12日、国土交通省は期限を2021年9月30日まで再延長した)。このときの調査で、占用者の80%が「コロナが収束しても同様の措置を希望する」と回答している。

 ほこみち制度は特例区域にコロナ占用特例と同様の許可基準を適用できるようにするもので、国土交通省は、コロナ占用特例からほこみちへの円滑な移行を推進する、としている。ただし、コロナ占用特例では占用料は免除されるが、ほこみちでは1割負担だ。