他産業との融合による新たなビジネスの創出へ――スポーツ庁

スポーツ庁 参事官(民間スポーツ担当)付参事官補佐の悴田康征氏(写真:小口正貴)
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 次に登壇したのは、スポーツ庁 参事官(民間スポーツ担当)付参事官補佐の悴田康征氏だ。「SOIP(Sports Open Innovation Platform)をはじめとするスポーツ庁におけるデータ活用の方向性について」と題し、データ活用によるスポーツビジネスの拡大や、健康を含むスポーツの価値向上のための施策を紹介した。

 政府はこれまで、競技力の強化や教育の観点からスポーツを振興してきた。しかし、2015年のスポーツ庁誕生を機に、他省庁にまたがっていたスポーツ施策を統合。さらに、スポーツを成長産業化して「ビジネス面でも大きくしていこう」という政策転換があった――。悴田氏はこのように最近のスポーツ政策の変遷を概観した。

 スポーツ庁は2016年6月、スポーツ未来開拓会議の中間報告を行った。このうち、データ活用や産学連携に大きく関係してくるのが「他産業との融合による新たなビジネスの創出」である。例えば、スポーツ観戦は公共交通機関や宿泊施設、飲食店なども大きく関連する「総合産業」の側面も持ち合わせている。そのため、スポーツだけを考えても産業としての拡大にはつながらないことから、「他産業との連携やデータ活用が重要になる」と悴田氏は説明する。

 取り組みを推進するため、スポーツ庁はスポーツ団体や企業、関係省庁、大学などが連携する場として「Sports Open Innovation Platform(SOIP)」を設立。スポーツの場におけるオープンイノベーションを促進し、スポーツへの投資促進やスポーツの価値高度化をはかるとともに、スポーツの場から他産業の価値高度化や社会課題の解決につながる新たな財・サービスが創出される社会の実現を目指す。

SOIPの概念(資料:スポーツ庁)
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 スポーツ庁がSOIPで推進するオープンイノベーションは3つある。1つ目は、ITやAIなど他産業のノウハウを活用した「スポーツの価値高度化」。2つ目は、スポーツの健康・コンディショニング管理ノウハウを一般ユーザーのライフレコーディングサービスとして発展させるなど「他産業の価値高度化」。そして最後は、スポーツが持っているノウハウを健康増進やイノベーション実証の場として利用して持続可能な社会に役立てる「社会課題の解決」である。

 SOIPではこれまでに推進会議を開催したほか、今後はネットワーキングやピッチ、アワードなども実施していく予定。スタートアップなどが開発した材・サービスの実証や事業化を後押ししたり、国際的な相互関係も構築したりしていく考えだ。

 また、データ活用の取り組みでは、スポーツチームが地域にもたらす価値に注目し、経済的価値だけでなく社会的価値についても検討している。様々なデータを見える化して相関関係などを分析するほか、蓄積したデータのオープン化なども進め、「企業や学術機関との連携や横展開につなげていきたい」(悴田氏)との方向性を示した。