鳥取県日南町/山陰合同銀行

■SDGs・脱炭素で地域事業者のサステナブル経営を後押しするSDGs未来都市の挑戦

 山陰合同銀行は鳥取県日南町とのプロジェクトでも受賞した。日南町は人口約4200人、高齢化率は52%に達し、少子高齢化が進行する「日本の30年後の姿」の町として多くの学術機関におけるモデル地域にもなっている。

 町の産業は農業や林業の第一次産業が中心だ。そこでFSC(森林管理協議会)認証された町有林から創出されるJ-クレジットを活用したカーボン・オフセットの促進に取り組んでいる。J-クレジットとは、適切な森林管理などによる温室効果ガスの吸収量や削減量を「クレジット」として国が認証する制度。クレジットを購入することで温室効果ガスの削減を行ったとみなされる(オフセットされる)。

 日南町はJ-クレジットの販売支援を行う「地域コーディネーター制度」を導入した。地域にネットワークを持つ金融機関が地域コーディネーターとしてJ-クレジットを販売する。その売り上げを林業の振興と生態系の保全に活用し、持続可能な森林づくりに生かす。地域に資金が還流し、実効性ある森林への再投資を実現するための「基金」もつくった。21年のJ-クレジット販売実績は79件、二酸化炭素換算で1446トンと、過去最高だった20年度の24件・658トンから急増した。

(出所:日南町/山陰合同銀行)
(出所:日南町/山陰合同銀行)
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 受賞講評では「地球温暖化対策(環境)だけでなく、植林による雇用創出(社会)、そしてクレジット売却益(経済)と、三側面を統合的に取り組んでいる点」が高く評価され、全国のモデル事例となることが期待されている。

長野県/上田信用金庫

■事業者に「気づき」を与え、共に持続可能な地域社会を目指す融資商品「SDGs/ESGサポートローン」

 長野県と上田信用金庫は「長野県SDGs推進企業登録制度」を2019年に全国に先駆けて創設した。登録企業はSDGs達成に向けた「宣言」と取り組みのセルフチェックが必要になる。現在、登録者数は1300を超える。

(出所:長野県/上田信用金庫)
(出所:長野県/上田信用金庫)
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 同登録制度を創設する前、長野県内企業のSDGs認知度は13%と低かった。他の地方と同様、人口減少や地域経済の停滞という課題を抱えていた。そこで上田信用金庫を含む地域金融機関・大学・経済界による「NAGANO×KANTO地域SDGsコンソーシアム」を経済産業省関東経済産業局の協力の下で組織し、登録制度を検討・創設した。

 また、SDGsに資する事業を進めるには新たな資金が必要となることから、「SDGs/ESGサポートローン」を創設。登録制度に登録した企業もしくは上田信用金庫独自のチェックリストで認定された企業は同サポートローンを利用できるようにした。利用にあたり、同金庫とSDGsに取り組んでいくことを表明しなければならない。

 チェックリストは事業者と同金庫職員で協働して作成し、事業性評価も実施するため、伴走型支援によりSDGs達成に向けて具体的なアクションにつなげることができる。サポートローンは21年12 月末時点で24社が利用し、融資実行金額は10億円以上になる。第1号案件は小水力発電事業を計画している佐久穂水力発電だ。そのほか、営農型太陽光発電設備などのエネルギー関連、幼稚園や外国人技能実習生向け研修センターの建設資金など幅広い分野で活用されている。

 受賞講評では「地域事業者へきめ細かい伴走型支援を行っている『地方創生SDGs金融』のモデル事例であり、他の地域においても展開が可能な取り組みである」と評価された。