2019年の内閣府成果連動型事業推進室の発足を皮切りに、近年、PFS(成果連動型民間委託契約方式)の活用が進められてきた。実際に活用した自治体は、事業者は、どのような手応えを持っているのか。また、PFS導入の課題にはどのようなものがあり、それをどのように乗り越えればいいのか。――2022年3月に科学技術振興機構・社会技術研究開発センター主催で行われた「フォローアップセミナーPFS/SIB(成果連動型民間委託契約方式)」の様子を紹介する。

【パネリスト】
・内閣府 成果連動型事業推進室 参事官 石田直美氏
・ケイスリー 代表取締役 幸地正樹氏
・堺市 産業振興局 産業政策課 藤田力氏

【モデレーター】
・科学技術振興機構社会技術研究開発センター 「安全な暮らしをつくる新しい公/私空間の構築」研究開発領域(公私領域)総括 山田肇氏

内閣府PFS推進室・石田氏:さらなる分野の拡大へ

内閣府成果連動型事業推進室の石田直美参事官(オンラインセミナーの画面より)
内閣府成果連動型事業推進室の石田直美参事官(オンラインセミナーの画面より)

 内閣府は、成果連動型民間委託契約方式(PFS:Pay for Success)の普及を推進するため、2019年7月に成果連動型事業推進室を発足させた。2020年3月にアクションプランを策定し、3年後の2023年3月末までに重点分野でのPFSを活用する自治体数を100団体とする目標を掲げた。PFS導入の重点としては、「医療・健康」「介護」「再犯防止」の3分野を挙げている。

 また、内閣府では2021年に共通的ガイドラインを策定、自治体向けのセミナーや研修会、個別相談などを行なっているほか、重点3分野については経済産業省と厚生労働省が手引きを作成するなど、ツールも充実させてきた。

 内閣府が2021年10月に実施した調査によると、2020年度末までに68団体がPFS事業を実施していることが分かった。68団体のうち54団体がアクションプランに定める重点3分野でPFSを活用しており、アクションプラン初年度で目標(100団体)の5割以上に到達したことになる。

国内のPFS導入状況(資料:内閣府)
国内のPFS導入状況(資料:内閣府)
[画像のクリックで拡大表示]

 実施団体数が増えきた中で課題も見えてきた。石田参事官は「自治体がPFS導入を検討する際に大きく3つほどの課題を抱えている」と指摘する。

 「まず『複数年の予算をつけることが難しい』『補助金が複数年確約されない』など債務負担に対して抵抗感が強いこと。次に、成果が出るかどうかわからない、払うかどうかわからないものに対して補助金がつけられないこと。そして、成果の評価が難しいことだ」(石田氏)

 これらの課題を解決するために、2020年度から開始したのがPFS交付金(成果連動型民間委託契約方式推進交付金)だ。成果に応じて変動する部分に特化して、複数年で採択決定、複数年で確実に交付することを前提としている。 また、評価においては内閣府が事業者に委託して評価する。

 さらに石田参事官によれば「現在、内閣府では、PFSの活用・推進において次のステップに入る段階と位置づけて議論を重ねている」という。各地方自治体や民間事業者のニーズをふまえ、「まちづくり」など新たな分野への拡大を目指している。また、成果指標を明確化するため、必要なデータや参考となるエビデンスを収集し、社会的コスト調査などにも注力している。

地方自治体や民間事業者に対して実施したアンケートで「PFS活用を期待できる/活用したいと思う事業分野」として上がったのが「まちづくり」「教育・子ども・家庭」「就労支援」などの分野だった(資料:内閣府)
地方自治体や民間事業者に対して実施したアンケートで「PFS活用を期待できる/活用したいと思う事業分野」として上がったのが「まちづくり」「教育・子ども・家庭」「就労支援」などの分野だった(資料:内閣府)
[画像のクリックで拡大表示]